2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591424
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
高屋 淳二 関西医科大学, 医学部, 講師 (80247923)
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Keywords | 遺伝子 / 環境 / 生理学 / 病理学 |
Research Abstract |
【目的】近年マグネシウムの摂取不足はメタボリックシンドロームの一因と考えられている。また子宮内環境が胎児のエピジェネティクス変化をきたすという知見が報告されている。「母体の低マグネシウム状態が、胎児のグルココルチコイド関連遺伝子にエピジェネティクス変化与える」という仮説を証明する。 【方法】10週齢のWistar雌ラットを2群に分け、対照の正常飼料群と低マグネシウム飼料で飼育した群に正常飼料雄ラットを交配させ、妊娠中および授乳期にも同様の飼料を継続した。出産した仔ラット(各群10匹)から生後21日に肝臓をとりだし、グルココルチコイド代謝に関連するPPARα、グルココルチコイド受容体、11β-hydroxysteroid dehydrogenase-2(11βHSD-2)のmRNA発現量をリアルタイムPCRで定量した。DNAメチル化はエピジェネティクスの主なメカニズムの一つとされる。したがって上記各遺伝子DNAのCpGリッチ領域におけるメチル化の変化を、バイサルファイト変換した後に、パイロシークエンス法で測定した。【結果】生後21日目の仔体重は、低マグネシウム母獣からの仔(17.2±0.7g)が、対照(30.8±0.6g)に比して低体重であった(P<0.01)。mRNA発現量は、PPARα、グルココルチコイド受容体には差はなかったが,11βHSD-2は低マグネシウム母獣の仔で有意に上昇していた(P<0.001)。PPARα 6箇所、グルココルチコイド受容体5箇所のCpG領域におけるメチル化の変化に有意差はなかった。しかし11βHSD-2遺伝子5箇所のCpG領域におけるメチル化は、低マグネシウム母獣からの仔で有意に高値であった(P<0.05)。性差に有意差は認めなかった。 【結論】11βHSD-2は、活性型グルココルチコイドを非活性型に変換する酵素で11βHSD-1と相反する作用をもつ。低マグネシウム母獣からの仔は、11βHSD-2遺伝子DNAプロモータ領域におけるメチル化変化を受け、遺伝子発現は抑制されると予想した。しかし、11βHSD-2遺伝子の発現は上昇し、エピジェネティクスにおける複雑な調節機構が考えられる。
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Research Products
(4 results)