2009 Fiscal Year Annual Research Report
超早産児の神経学的後遺症としての高次脳機能障害についての病態研究
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21591425
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
出口 貴美子 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所・疾病研究第二部, 研究生 (50227542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 健 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第二部, 室長 (30392418)
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Keywords | 神経科学 / 脳神経疾患 / 動物モデル / 脳・神経 / 病理学 |
Research Abstract |
超早産児の神経学的後遺症として、大脳白質病変に起因する脳性麻痺とともに、最近は、多動や学習障害等の高次脳機能障害が注目されている。しかし、その高次脳機能障害の原因については、依然不明な点が多い。我々は、これまでに超未熟児剖検脳の神経病理学的解析を行った結果、虚血性脳障害を有する超早産児の脳では、白質障害以外に、脳室周囲の神経前駆細胞が傷害されていることを見いだした。超早産児にあたる在胎28週未満の時期は、脳の神経前駆細胞の皮質への移動が終了する直前であり、この時期の傷害がその後の神経細胞の皮質への移動の過程に影響を及ぼし、最終的に大脳皮質の発達を障害し、これが高次脳機能障害の原因の一つになるのではないかと仮説を立てた。そこで、本申請では、この仮説を検証するために、長期生存例を含む超早産児剖検脳の神経病理学的検索と、マウスを用いた周産期脳虚血モデルの構築とその解析を行い、超早産児の神経学的後遺症である高次脳機能障害の病態を明らかにする事を目的とする。 1.ヒト超早産児剖検脳を用いた検討 超早産児剖検脳の長期生存例について神経病理学的検討を行った。脳室周囲の検討では、これまで得られた所見と同様に、神経幹細胞が存在することが知られている脳室下帯において、nestin陽性の神経幹細胞が消滅していることを確認した。また、皮質下白質および皮質においては神経細胞の移動および成熟の異常を示唆する所見が得られた。 2.マウスモデルの構築と病態解析 妊娠マウスの子宮動脈一時的結紮による胎児期の脳虚血モデルを作製の実験系を確立した。今後、この型を用い、さらに子宮内遺伝子導入によるトレーサーを導入することにより、脳室周囲の神経前駆細胞の傷害や神経細胞の移動や成熟に及ぼす影響を検討していく予定である。
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