2010 Fiscal Year Annual Research Report
真皮線維芽細胞からアプローチする毛髪異常疾患の原因究明
Project/Area Number |
21591427
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中野 創 弘前大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (90281922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 康司 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (50322946)
澤村 大輔 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60196334)
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Keywords | ヒロサキヘアレスラット / 乏毛 / 線維芽細胞 / 細胞周期 / 脱毛疾患 |
Research Abstract |
これまで我々は,弘前ヘアレスラット(HHR)皮膚由来線維芽細胞(HHR-DF)を初代培養すると,継代5代目ころから大型の胞体を有する多核の線維芽細胞が大部分を占めることを見出している,さらに,HHR-DFの細胞増殖能は対照のSprague-Dawleyラット(SDR)由来皮膚線維芽細胞(SDR-DF)に比べて著しく低いことも明らかにした. 平成22年度は、HHR-DFの細胞増殖能に対する各種増殖刺激因子の影響を調べた.5%ウシ胎児血清加Minimal essential medium(MEM)で培養したHHR-DFあるいはSDR-DFを以下の増殖刺激因子すなわちウシ胎児血清(5~20%),フォルボールエステル(PMA),TGF-β,塩基性線維芽細胞増殖因子で刺激し,細胞数を経時的に計測したところ,いずれの刺激によってもSDR-DFは刺激開始48時間で対象に比較して細胞数が1.5倍程度に増加するが,HHR-DFでは対象に比較して細胞数の有意な増加が認められなかった.すなわち,HHR-DFはある種の細胞増殖因子に対する反応性を欠如していると考えられた.さらに,HHR背部皮膚に直径5mmの皮膚欠損を作成し,創傷部位が再生治癒するまでの過程を組織学的に解析した.皮膚欠損部位に再生する肉芽組織の増殖速度は組織上の面積を指標に,また,肉芽組織を覆うように再生する表皮の増殖速度は再生表皮の長さを指標として計測したところ,いずれの指標もSDRに比してHHRで低い傾向を認めたが,有意差が認められなかった.データに多少のばらつきがある点と,5mmの皮膚欠損が小さいために両ラット間で創傷治癒に差がつきにくかった可能性があり,今後の検討課題である.
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