2009 Fiscal Year Annual Research Report
制御性T細胞が表皮ランゲルハンス細胞の動態に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
21591430
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
瀬尾 尚宏 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, 助教 (50283354)
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Keywords | 腫瘍免疫 / 表皮ランゲルハンス細胞 / 経皮免疫 / 免疫抑制 / 制御性T細胞 / NKT細胞 / γδT細胞 / 抗腫瘍CTL |
Research Abstract |
経皮的な癌関連抗原ペプチド免疫でヒトメラノーマ治療への応用を開始しているが、この治療過程で制御性T細胞(Treg)による免疫抑制作用の問題が浮上している。このことから、経皮ペプチド免疫過程のどの段階でTreg細胞との接点が観られるかを知ることは大変重要な課題である。 平成21年度研究では、マウスを用いた経皮ペプチド免疫における表皮ランゲルハンス細胞(LC)とTreg細胞動態を詳細に解析した。nTreg細胞やサイトカイン誘導Treg細胞の動態検討にはCD4,CD25,Foxp3抗体を、NKT細胞動態にはVα24抗体を、γδT細胞動態にはγδTCR抗体を、CTL動態にはCD8抗体を、表皮LC動態には蛍光標識TRP-2ペプチドを用い、免疫組織学的染色及びフローサイトメーターを用いたTreg細胞及びCTL動態と表皮LC動態の関連について検討した。 その結果、Treg関連抗体を用いた検討においてリンパ節のT領域で通常のnTreg細胞が待機している像が見られること。さらに、角層除去皮膚へのTRP-2抗原塗布によって、TRP-2捕捉LCが活性化し近傍リンパ節へと移動する際にはリンパ節内nTreg細胞に動きは見られないが、リンパ節に侵入後のLC周辺ではTreg細胞が優位に増幅していることを確認した。γδT細胞もLCの動態に関連したリンパ節内増幅がわずかに観察されるものの、NKT細胞には顕著な変化は見られなかった。この増幅Treg細胞はFoxp3発が低いため、nTregとは違うサイトカイン誘導Treg細胞である可能性が高いと考えられる。今後のヒトへの応用としては、サイトカイン誘導Treg細胞を見分ける抗体を用い、ヒト角層除去皮膚切片や健常人および癌患者のリンパ節切片を染色する実験を行い、ヒトにおけるLC動態とリンパ節でのサイトカイン誘導Treg細胞動態を検討する予定である。
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