2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスを応用した神経線維腫症発生機構の解析と悪性化因子の同定
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21591441
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
後藤 孝也 独立行政法人放射線医学総合研究所, 緊急被ばく医療研究センター, 主任研究員 (80284355)
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Keywords | 神経線維腫 / 病態医化学 / 皮膚病理 |
Research Abstract |
倫理手続きに沿って神経線維腫症患者(23歳から54歳)から得た、のべ81検体を用いて解析を行った。腫瘍組織は、悪性神経梢腫、結節型皮膚神経線維腫、巨大び慢性神経線維腫などを含み、同一患者からの各神経線維腫組織症例(結節型、び慢性、悪性神経鞘腫)であった。蛍光色素標識を利用したプロテオミクス的解析法により、病理組織の内、毛細血管、膠原線維が混在し抗S100抗体陽性の神経由来細胞を含む神経線維腫組織とその周辺部の神経細胞を含まない組織とを顕微鏡下に弁別しレーザーマイクロダイセクターで切片から切り出した試料を解析に供した。腫瘍部と正常部の蛋白質の蛍光差異比較解析では、カドヘリン、14-3-3、Tubulinなどの細胞内の存在比の多いものが腫瘍部と非腫瘍部での有意な差として認められた。これらの蛋白質は腫瘍化した結果増加したのか、腫瘍化誘発の原因なのか判定が困難であった。 腫瘍を構成する細胞の組み合わせが悪性度に寄与するという最新の報告に対応した解析として、同一患者のうち、悪性神経鞘腫へと変異した組織の内、切片上で核の異形性、細胞胞体の形(紡錘形の程度、細胞密度など)から弁別し、悪性度が高いと推定され、かつ抗S100抗体の陽性度の細胞をそれに隣接し、抗S100抗体陰性で細胞の胞体が大きい細胞(由来は不明)の細胞集団から分けて切り出し、比較対照として良性と判断される組織中の抗S100抗体陽性細胞を用いてプロテオミクス解析を行った。その結果、Rasシグナルに関係する蛋白質、その他転写因子群に属する蛋白質の発現量にわずかではあるが差異が認められた。この結果は神経線維腫症の病態を解明する上で重要な発見である。しかし、限られた症例数での解析であり、更に症例数を増やし、キナーゼカスケードを形成するRasシグナルと今回発見した転写因子群との関連解析を進め、治療法解析に発展させなければならない。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)