2009 Fiscal Year Annual Research Report
血管型エーラス・ダンロス症候群本邦例のCOL3A1変異と臨床症状重症度との相関性
Project/Area Number |
21591442
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
籏持 淳 Dokkyo Medical University, 医学部, 教授 (90172923)
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Keywords | エーラスダンロス症候群 / 血管型 / III型コラーゲン / COL3A1 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
血管型Ehlers-Danlos症候群(EDS)(M-M 130050)は動脈,消化管,妊娠中の子宮の破裂など突然死をもきたしうる重篤な合併症をもつ最重症型EDSで,常染色体優性遺伝性疾患である.III型コラーゲンは少量成分としてI型コラーゲンと共存して多くの組織に分布し,血管壁,皮膚,さらに消化管などの臓器に特に多く存在するが,この血管型EDSはIII型コラーゲン遺伝子(COL3A1)の変異によりIII型コラーゲン分子の異常をきたし発症する.今回,我々は当教室で解析を行った本邦の血管型EDS 20例のCOL3A1の遺伝子変異,臨床所見および培養線維芽細胞のIII型コラーゲン産生能について検討した.まずRT-PCRによってCOL3A1のcDNAのtriple-helixに相当する部位(3212bp)のシークエンスを解析し,変異が検出された場合に,さらにそれに相当あるいは関連する変異をgenomic DNAで解析した.COL3A1の遺伝子変異はグリシンの置換変異が見られた症例が9例(45%)でexon skipなどexon junctionのsplice-site変異が見られた症例が11例(55%)であった.これは欧米における前者が2/3、後者が1/3というこれまでのデータと大きく異なり、日本人vEDSの特徴と思われ、大変興味深い結果である。一方,培養線維芽細胞のIII型コラーゲン彦生能の平均は正常の14.6%であった.臨床所見では皮膚の菲薄化・血管の透見の所見のあった症例は90%であった.顕著に見られる出血斑が90%,特徴的顔貌68%,小関節過可動94%であったが,動脈破裂・動脈解離・動脈瘤30%,消化管穿孔・消化管破裂25%であった.遺伝子変異の型やエクソン数など変異の位置と臨床所見とは相関性が認められなかった。動脈消化管の破裂など重篤な合併症は年齢が増すに従って増加するとされ,今回の解析時の年齢の平均が26.4歳と比較的低く,今後の経過観察と緊急時の対策が重要である.
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Research Products
(3 results)