2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591444
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松崎 ゆり子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40255435)
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Keywords | メダカ / 遺伝子導入 / 癌モデル生物 |
Research Abstract |
本研究はメダカを癌モデル動物として利用し、安定的に腫瘍を生じるヒトHRAS^<G12V>トランスジェニックメダカ系統を樹立した後、個体ベースの新規抗癌化合物スクリーニングシステムを確立することを主たる目的としている。メダカ熱ショックタンパク(medakaHSP)プロモーター下でCreを発現させることのできるトランスジェニックメダカ系統Tg(hsp:cre)と、loxP配列を両端に持つEGFP遺伝子をヒトHRAS^<G12V>遺伝子の上流に挿入したヒトHRAS^<G12V>トランスジェニックメダカ系統Tg(tyr:HRAS^<G12V>)を交配することにより、温度処理を施した時にのみ、ヒトHRAS^<G12V>が発現するメダカを作製することができた。7g(tyr:HRAS^<G12V>)/Tg(hsp:cre)二重遺伝子導入系統は、生後6か月の段階で生存していたすべての個体(16/16個体)に黒色素胞の異常増殖もしくは悪性黒色腫が外観から確認できた。また艀化前の温度処理が早期の致死性を高めること、生後4か月以降に腫瘍死と思われる死亡個体が増加し、最長寿命は10か月であることなどがわかった。薬剤投与の予備実験としてRasシグナル下流に位置するRafキナーゼ受容体の阻害剤ソラフェニブの投与を行った。1回につき24時間の薬浴を週2回、2週間で計4回行い、投与前と投与後の個体写真の比較を行った。ソラフェニブ投与群と対照実験とした溶剤のDMSO投与群とで画像解析により担癌個体の黒色領域増加面積を比較したところ、ソラフェニブ投与群では統計的有意差で黒色領域の増加が抑制された。また、生存曲線においてもソラフェニブ投与群は対照群と比較し有意な生存の延長がみられた。以上より、本研究で樹立されたヒトHRAS^<G12V>トランスジェニックメダカ系統は癌治療モデルとして有用な系であることが確認された。
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Research Products
(3 results)