2009 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線による酸化ストレス傷害に応答するシグナル伝達抗酸化システムの役割
Project/Area Number |
21591446
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小澤 明 Tokai University, 医学部, 教授 (20096209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹腰 進 東海大学, 医学部, 准教授 (70216878)
生駒 憲広 東海大学, 医学部, 講師 (40407979)
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Keywords | ヒト皮膚組織 / 紫外線 / 抗酸化酵素 / シグナル伝達 / レーザーマイクロダイセクション |
Research Abstract |
I.目的 我々は、発癌等のない正常ヒト皮膚組織において紫外線に誘発される酸化酵素、抗酸化酵素、シグナル伝達について検討した。 今までの我々の研究結果では、発癌のない正常ヒト皮膚組織においては、紫外線露光によりDNA損傷は認められなかったが、脂質過酸化反応の亢進は認めた。抗酸化酵素群の一つであるHO-2は紫外線露光部真皮で発現が亢進していた。過酸化水素を消去する抗酸化酵素群では、紫外線露光部表皮でチオレドキシン、角層から表皮浅層顆粒層にかけてはカタラーゼ、紫外線非露光部ではスーパーオキシドジスムターゼが発現し、それぞれ抗酸化酵素として重要な役割を果たしていることが示唆された。 今回我々は、(1)抗酸化酵素の差を認めた酵素につき再度Reai time RT-PCRを用い検討し、(2)免疫染色を用いてシグナル伝達について検討した。 II.結果 (1)Real time RT-PCRを用いた抗酸化酵素群の検討 レーザーマイクロダイセクションを用い、表皮・真皮で分けそれぞれの酵素群について検討した。DNA損傷を修復する酵素群、Mn-SOD、Cu/Zn SOD、GPXは発現していなかった。Trxは表皮に強く発現していた。 HO-2は表皮では紫外線露光部・非露光部で差を認めなかったが、真皮においては紫外線露光部で有意差を認めた。 (2)免疫染色を用いたシグナル伝達の検討 NF-kB、Keap1、Nrf2、MAPKであるp38、JNK、ERKについて検討した。 我々の用いたヒト皮膚組織においては、NF-kB、ERKは表皮細胞の核で発現していたが紫外線露光部非露光部で差を認めなかった。p38は表皮では紫外線露光部非露光部で発現の差を認めなかったが、真皮においては紫外線露光部で発現に差を認めた。JNKは表皮紫外線露光部で、紫外線非露光部と発現に差を認めた。 III.まとめ 今回われわれの用いた発癌がなく慢性的に日光による光刺激のあるヒト皮膚組織においては、DNA損傷は認めず脂質の酸化を認めた。抗酸化酵素では、真皮においてHO-2が重要と示唆された。また、シグナル伝達ではMAPK群では表皮でJNK、真皮でp38の誘導していることが考えられた。
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