2009 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎の痒みの発生機序の解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
21591468
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
竹中 基 Nagasaki University, 大学病院, 講師 (30281207)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SANGJAE Bae 長崎大学, 大学病院, 医員 (90325647)
佐藤 伸一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (20215792)
|
Keywords | アトピー性皮膚炎 / 神経ペプチド / サブスタンスP / neutral endopeptidase |
Research Abstract |
神経内分泌要因は、免疫系と互いに影響し合い、アトピー性皮膚炎の病態に関与している可能性が示唆されている。サブスタンスPは代表的な神経ペプチドで掻痒を誘発し、neural endopeptidaseにより分解されると報告されている。外来通院中のアトピー性皮膚炎患者5例を対象に、日本皮膚科学会の定める治療ガイドラインに沿って治療を行い、その前後で、血清中のサブスタンスP濃度をELISA法で、末梢血単核球のnueral endopeptidase mRNA発現をRT-PCR法により検討した。治療に伴い、皮膚症状とともに掻痒も著明に軽減していた。血清中サブスタンスP濃度は、1例ではほとんど低下は認めなかったが、4例において低下を認め、5例平均で、治療前310.0±117.1pg/mlから253.0±68.3pg/mlと、治療後には治療前の86.8%に減少していた。Neutral endopeptidase mRNA発現は、バンドの吸光度を測定したところ、mRNAの発現が治療後に10~20%増強していた。また、一酸化窒素はサブスタンスPによる痒みを増強することが知られている。そのため、C57BL/6マウスにおいて、一酸化窒素の供与体であるspermine NONOateにて誘発される掻破行動を検討した。マウスの後頚部を剃毛し、spermine NONOateを皮下投与し、掻破行動を計測した。その結果、spermine NONOate投与直後から掻痒行動を誘発し、20分で最大になり、その後時間とともに減少し、60分まで認められた。このように、アトピー性皮膚炎の掻痒において、サブスタンスPが何らかの役割を担っていることが、示唆された。
|