2009 Fiscal Year Annual Research Report
モデルマウスを用いた乾癬の病態解明及び治療法の開発
Project/Area Number |
21591476
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
樽谷 勝仁 Kochi University, 教育研究部・医療学系, 准教授 (30301261)
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Keywords | Raf / IL-17 / 乾癬 / モデルマウス |
Research Abstract |
我々は表皮におけるRas-Raf-MAPKシグナルの働きを調べるために表皮特異的にタモキシフェンを塗布したときのみRaf蛋白が発現するマウス(K14-RafERtmマウス)を作成した。このマウスの背部にタモキシフェンを塗布し表皮特異的にRafを発現することにより乾癬類似の表皮肥厚と炎症細胞の浸潤が起こることが確認されている。 本年度はこの表皮特異的にRafを発現させたマウスの表皮にタモキシフェンを塗布することによりどのくらいの時間でRafのシグナルが発現されるかどうかということをRafの下流のP-MAPKの抗体の免疫染色によって確認したところ、P-MAPKはタモキシフェン塗布後8時間以内に発現することが確認された。培養ケラチノサイトでも同様にタモキシフェンを塗布した後にP-MAPKの発現がみられた。タモキシフェン塗布後8時間後にRafを発現させたマウスの皮膚に発現するサイトカインを測定したところ、IL-18,LIF,M-CSF,VEGF,CXCL1,CXCL2,CCL2とCCL4の上昇がみられたが、野生型マウスにタモキシフェンを塗布したときにはみられず、Rafの表皮への発現によるものと考えられた。これらのことよりこのマウスは乾癬モデルになり得ると考えた。一方所属リンパ節を刺激するとTh-1とTh-17にリンパ球が分化し、Th-2には分化しないことも確認できた。表皮に好中球の浸潤が目立ったため、好中球に対する抗体を投与すると、部分的に表皮肥厚は軽減され、表皮肥厚反応の一部は好中球がその役割をになっていることがわかった。現在このマウスとIL-17Aノックアウトマウスをかけあわせ、IL-17がない状態でRafによる表皮肥厚が軽減されるかどうか調べているが、表皮肥厚が軽減されるマウスもいれば、軽減されないマウスもいるため、今後数を増やして確認する予定としている。
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