2011 Fiscal Year Annual Research Report
モデルマウスを用いた乾癬の病態解明及び治療薬の開発
Project/Area Number |
21591476
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
樽谷 勝仁 高知大学, 教育研究部・医療学系, 准教授 (30301261)
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Keywords | Raf / IL-17 / 乾癬 / モデルマウス / Stat3 |
Research Abstract |
我々は表皮におけるRas-Raf-MAPKシグナルの働きを調べるためにタモキシフェン依存性に表皮にRaf蛋白が発現するマウス(K14:Raf-ERマウス、以下Raf+マウス)を作成した。このマウスの背部にタモキシフェンを塗布し表皮特異的にRafを発現することにより乾癬類似の表皮肥厚と炎症細胞の浸潤が起こることが確認されている。 本年度は同マウスと表皮特異的Stat3ノックアウトマウス(K5-Cre:stat3f/fマウス、以下Stat3-マウス)をかけあわせて表皮のみStat3が欠損しているタモキシフェン依存性の表皮特異的Rafマウスを作成し、Stat3が存在しないときのRafによる表皮肥厚を検討した。その結果Stat3が存在しないとタモキシフェン誘導性のRafによる表皮肥厚が減弱することが確認された。次にRaf+Stat3-マウスにおけるタモキシフェン処理後にRaf+マウスでその発現の増加が見られたVEGFとIL-1βがRaf+Stat3-マウスでは誘導されず、ケラチン10の発現はRaf+Stat3-マウスにおいて同処理後に逆に増加していた。TNF-α,c-myc,IL-18,IL-23はすべてのマウスでタモキシフェン処理後もその発現に変化がなく、IL-17A,IL-22,IFN-γ,IL-4はすべてのマウスでタモキシフェン処理後もその発現を認めなかった。これらの結果よりVEGFやIL-1βがStat3を介したRaf誘導性乾癬様皮疹の形成に関与している可能性があり、今後このメカニズムについての詳細な検討が必要であると考えている。
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