2009 Fiscal Year Annual Research Report
気分障害の病態・発症機序における情動ストレス神経回路の役割に関する研究
Project/Area Number |
21591478
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 猛 Hokkaido University, 大学病院, 講師 (70250438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 伸 北海道大学, 大学病院, 講師 (60360905)
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Keywords | 気分障害 / 恐怖条件付き / 扁桃体 / ストレス / SSRI |
Research Abstract |
1.恐怖条件付けストレスモデルを用いて、SSRIの不安に対する効果の作用機序、増強療法の可能性について検討した。SSRIの効果をα2遮断薬は軽度増強し、α1遮断薬は抑制した。また、臨床で併用されることが多い非定型抗精神病薬はSSRIの効果を増強することはなく、むしろ減弱する傾向を示したが、α1遮断作用が影響している可能性が考えられた。SSRIの効果を新規抗うつ薬であるmirtazapine併用が顕著に増強したが、その作用機序の一部はmirtazapineのα2遮断作用を介している可能性が考えられた。 2.恐怖条件付けストレスで扁桃体基底核のc-Fos蛋白発現が増加するが、その大部分はグルタミン作動性神経における発現であった。したがって、恐怖条件付けストレスにより条件刺激である文脈情報の入力部位である扁桃体基底核のグルタミン作動性神経で最初期遺伝子が駆動されることが細胞レベルで証明された。 3.本邦臨床で用いられている3種類のSSRI(paroxetine,fluvoxamine,sertraline)の細胞外モノアミン濃度を脳内透析法により測定し、SSRI間の違いについて検討した。測定した脳部位は前頭前野、側坐核、線条体の3脳部位である。いずれのSSRIも3脳部位で細胞外セロトニンを増加させた。さらに3つのSSRIともに側坐核で細胞外ノルアドレナリンも増加させたが、その作用機序は現時点では不明である。さらに、sertralineのみがそのドパミン再取り込み阻害作用により側坐核、線条体で細胞外ドパミン濃度を増加させた。SSRI間の生化学的相違がみられることは、SSRI間の変更の妥当性の理論的根拠となりうる。
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Research Products
(4 results)