2011 Fiscal Year Annual Research Report
気分障害の病態・発症機序における情動ストレス神経回路の役割に関する研究
Project/Area Number |
21591478
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 猛 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (70250438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 伸 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (60360905)
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Keywords | 気分障害 / 恐怖条件付け / 扁桃体 / ストレス / SSRI |
Research Abstract |
1. 新規抗うつ薬であるmirtazapineが恐怖条件付けストレスで抗不安作用を有し、その効果はリチウム亜慢性投与により増強した。一方、類似の四環系抗うつ薬であるmianserinは恐怖条件付ストレスで抗不安作用を示さず、リチウム亜慢性投与により効果が増強することもなかった。Mirtazapineとmianserinの作用の違いはmianserinの有するα1遮断作用をmirtazapineが有さないためと考えられた。 2. SSRIと同様に、mirtazapineの恐怖条件付け発現過程に及ぼす効果はフットショックからの時間に依存しており、フットショック後1日では効果はみられるが、1週間後には見られなくなった。 3. β遮断薬であるpropranololが文脈的恐怖条件付けストレスへの再暴露後の恐怖記憶の再固定化を阻害することが報告されているため、再暴露前後にpropranololをラットに全身投与したが、恐怖記憶の再固定化に及ぼす効果は追試できなかった。ノルアドレナリン系に対して、propranololと反対の作用を有するノルアドレナリン再取り込み阻害薬であるreboxetineの恐怖記憶再固定化に及ぼす影響も検討したが効果はみられなかった。 4. グルタミン酸受容体のサブタイプのうち、NMDA受容体遮断薬CPPとAMPA受容体遮断薬IEM-1460をそれぞれ単独あるいは併用で投与したところ、両者の交互作用はみられず、IEM-1460のみが恐怖条件付ストレスの獲得過程を抑制した。 5. うつ病の増強治療に用いられる甲状腺ホルモンをラットに1週間投与したところ前頭前野の細胞外セロトニン濃度が増加し、SNRIであるmilnacipranによる細胞外セロトニン濃度増加に対して相加的に作用した。
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Research Products
(10 results)