2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本人の性格傾向に及ぼすドパミントランスポーター・DBH遺伝多型の影響について
Project/Area Number |
21591480
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鎌田 光宏 山形大学, 保健管理センター, 准教授 (40282173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 浩一 山形大学, 医学部, 教授 (00194192)
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Keywords | ドパミントランスポーター / ドパミン-β-水酸化酵素 / 遺伝多型 / 人格 |
Research Abstract |
ヒト脳のドパミン、ノルエピネフリン機能は、うつ病や統合失調症など多くの精神疾患に関与することが知られている。また、これらの神経系の機能がヒトの人格特徴に影響を及ぼすとの報告があり、ドパミン受容体遺伝子多型と人格特徴との関連が示されている。しかしながら、ドパミンの合成・代謝に重要な役割を果たすドパミントランスポーター(DAT)やドパミン-β-水酸化酵素(DBH)の遺伝子多型と人格特徴との関係について検討した研究はほとんど行なわれていない。そこで本研究課題において、DATとDBH遺伝子多型が健常人の人格特徴に与える影響について検討し、平成21年度には、下記の2つの研究成果が得られた。 1.DAT遺伝子のプロモーター領域(-67A/T)とイントロン8(40-bp繰り返し配列多型)の遺伝多型がDATの発現に影響を与えると報告されており、これらのDAT遺伝多型が健常日本人の人格特徴に与える影響について検討した。対象は654例の健常日本人であった。人格特徴はTemperament and Character Inventory(TCI)により評価し、DAT遺伝多型はPCR法にて同定した。DATの-67A/T遺伝多型に関して、A遺伝子を有さない女性は、有する女性と比較し、有意にTCIの自己志向と協調の得点が低値であった。一方、イントロン8の繰り返し配列多型は、男性・女性共に、TCI得点に影響を与えていなかった。以上より、DATの-67A/T遺伝多型は健常日本人の人格特徴、特に自己志向と協調に影響を与えることが示された。 2.DBHはドパミンからノルエピネフリンに変換する代謝酵素である。DBH遺伝子のプロモーター領域の-1021C/T遺伝多型はDBH活性に有意な影響を与えることが報告されており、本遺伝多型が健常日本人の人格特徴に与える影響について検討した。対象は627例の健常日本人であった。人格特徴はTCIにより評価し、DBH遺伝多型はPCR-RFLP法にて同定した。女性においてDBH遺伝多型のT遺伝子を有する対象は、有さない対象と比較して有意にTCIの損害回避の得点が高値であった。以上より、DBHの-1021C/T遺伝多型は健常女性の損害回避に影響を与えることが示された。
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Research Products
(1 results)