2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本人の性格傾向に及ぼすドパミントランスポーター・DBH遺伝多型の影響について
Project/Area Number |
21591480
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鎌田 光宏 山形大学, 保健管理センター, 准教授 (40282173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 浩一 山形大学, 医学部, 教授 (00194192)
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Keywords | 性格傾向 / ドパミントランスポーター / DBH / TCI |
Research Abstract |
これまでドパミントランスポーター(DAT)の-67A/T gene polymorphismおよびIntron 8 VNTRの遺伝子多型が人格特徴に与える影響について検討した研究は全く行われていない。また、dopamine beta hydroxylase(以下DBH)の遺伝子多型が人格特徴に与える影響について関しての研究報告も、現在までのところ、ほとんどなされていない。そこため、本研究では、人格形成・認知行動様式に影響を与える要因を明らかにする目的で、ドパミントランスポーターの-67A/T gene polymorphismおよびIntron 8 VNTRの遺伝子多型、およびDBHの-1021C/T遺伝子多型のそれぞれが健常人の人格特徴に与える影響を多人数の健常人の対象を用いてTemperament Character Inventory(TCI)を用いて評価して包括的に検討した。また、これらの遺伝多型が人格特徴に及ぼす相互作用についても検討を行った。 その結果、DATではIntron 8 VNTRはTCIのいずれの項目にも関与を示さなかったが、-67A/T多型において女性群においてのみA alleleを持たない対象が有意に低い自己指向性と低い協調性を有することが示された。また、DBHの-1021C/T多型においては、女性群においてのみT alleleを有する対象が有意に低い損害回避傾向と関与することが示された。これらの結果から、この二つの遺伝多型が日本人の性格傾向に関与することが示唆された。また、上記のTCIの項目はうつ病患者の病前性格と密接な関与が報告されていることから、今回研究されたDAT・DBHの遺伝多型がうつ病での病前性格とも関連する可能性が推察された。 2011年度には、ドパミン生合成に関与する可能性が高いtyrosine hydroxylaseやGTP cyclohydrolase1、さらにはglucocorticid受容体などの遺伝多型の人格への影響を検討し、今後、脳内でのドパミン系統の働きに関与する遺伝多型が人格特徴に与えている影響を詳細に検討するための予備的研究を行った。
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Research Products
(1 results)