2009 Fiscal Year Annual Research Report
海馬におけるストレス応答機構に関する分子生物学的研究
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21591481
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
車地 暁生 Tokyo Medical and Dental University, 医歯学総合研究科, 准教授 (00251504)
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Keywords | 海馬 / ストレス / 遺伝子発現 / コルチコステロン / 探索行動 / RT-PCR / Fos / 不安 |
Research Abstract |
両側副腎摘出マウスを用いて、Novelty stressを15,30,60および120分負荷して、海馬における不安関連遺伝子の発現量、血清中コルチコステロンおよび行動量に関する変化を調べ、偽手術マウスと比較した。この不安関連遺伝子は、先行研究において、不安惹起物質や拘束ストレス負荷によって、マウス大脳新皮質において、その発現量が増加することを確認している、Fos,Btg2,Cyr61,Nr4a1およびgemの5種類の遺伝子について調べた。血清コルチコステロンは、両側副腎摘出マウスでは、Novelty stress負荷によって、全く影響を受けず、basal levelと同様な12-26ng/mlの値を示したが、偽手術マウスでは、15分間のストレス負荷によって、basal level(113ng/ml)の約3倍に増加し、30分および60分間ストレスによっても、その増加が継続し、120分後にはbasal levelに戻る先行研究とほぼ同じ変化のパターンがみられた。一方、不安関連遺伝子は、両側副腎摘出マウスの海馬においても、偽手術マウスと、量的にも、時間的にもほぼ同様なパターンの遺伝子発現亢進がみられたが、統計学的解析では、Btg2とNr4a1の遺伝子発現量が、それぞれ、30分と60分間のストレス負荷時において、偽手術マウスと比較して、有意に低下していた。行動量は、両群ともに、120分間に徐々に低下する同様なパターンを示したが、両側副腎摘出マウスでは、その低下が目立たず、75-120分間の行動量は、偽手術マウスよりも、統計学的に有意に多かった。 従って、ストレス負荷によって、血中コルチコステロンが増加するが、海馬の遺伝子発現量の増加には、この増加は、特定の遺伝子において、部分的にのみ関与していること、行動量の影響では、新規環境への順化を促進する可能性が示唆された。
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Research Products
(12 results)