2011 Fiscal Year Annual Research Report
海馬におけるストレス応答機構に関する分子生物学的研究
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21591481
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
車地 暁生 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (00251504)
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Keywords | 不安 / 海馬 / 遺伝子発現 / ストレス / RT-PCR / コルチコステロン / 精神病症状惹起薬 / マウス |
Research Abstract |
新環境ストレスをマウスに負荷すると、コルチコステロンの影響とは無関係に、海馬において、その発現量が増加する遺伝子が、これまでの先行研究でわかっていたもの以外に、新たに6種類あることを明らかにした。すなわち、JunB,Sik1,Dusp1,Arc,Egr2とZiclである。これらの遺伝子の海馬における発現量は、新環境ストレスを30分、あるいは60分負荷すると、統計学的有意に増加することを、real-timePCR法によって確かめた。 また、実験動物や人に投与すると、不安、あるいは精神病様症状を引き起こすことが知られている薬物をマウスに投与して、その1時間後に海馬の遺伝子発現量の変化を11種類の遺伝子について調べた。Yohimbine(5mg/kg)は、Fos,Btg2,Cyr61,gem,Sik1,Dusp1,JunBの遺伝子発現量を、mCPP(2mg/kg)はFos,Cyr61の発現量を増加させた。Phencyclidine(7.5mg/kg)は、Fos,Btg2,Cyr61,Nr4a1,Gem,Sik1,Duspl,Arcの発現量を、methamphetamine(2mg/kg)は、Cyr61,gem,Sik1,Dusplの発現量を、それぞれ、増加させたが、DOI(2mg/kg)は、今回調べたいずれの遺伝子の発現量も変化させなかった。 従って、不安およびストレスによって、海馬でその発現量が増加する遺伝子群は、精神病症状を惹起する薬物投与によって発現量が増加する遺伝子群と共通なものが含まれていることがわかった。今後は、こういった遺伝子の薬物反応性の生後発達の影響、解剖学的な詳細な情報、及び各遺伝子の相互関係などの解析によって、不安や精神病症状の分子生物学的機構の解明につながると考えられた。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] 双極性障害2型入院患者の診断および縦断的経過に関する臨床研究2011
Author(s)
車地曉生,成島健二,行実知昭,大島一成,柏淳,熱田英範,西多昌規,正木秀和,京野穂集,上里彰仁,武田充弘,西川徹
Organizer
第31回日本精神科診断学会
Place of Presentation
松本
Year and Date
2011-11-19
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[Presentation] 高齢者の気分障害入院患者に関する臨床的研究2011
Author(s)
車地曉生,大島一成,行実知昭,古田光,正木秀和,熱田英範,平沢俊行,新垣浩,寺田倫,川上礼子,柏淳,吉池卓也,西多昌規,藤田宗久,上里彰仁,成島健二,筒井啓太,西川徹
Organizer
第107回日本精神神経学会学術総会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2011-10-26
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