2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591483
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
谷井 久志 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40346200)
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Keywords | パニック障害 / 遺伝子多型 / 人格検査 / 中間表現型 |
Research Abstract |
パニック障害における遺伝子研究ではゲノムワイド関連研究を含めた様々な疾患・対照研究が行われ、複数の候補遺伝子が報告されているものの確定には至っていない。パニック障害の病態解明のためには新たなアプローチが必要とされ、異種性に基づく検討や中間表現型の解析が必要と考えられる。そこで、本研究ではパニック障害や健常者との比較検討において遺伝子多型や性別、発症年齢などによる層別化を行って不安感受性に関する尺度等を比較検討した。また精神疾患の未発症期にあたる思春期・青年期における特徴を抽出することで疾患脆弱性因子や発症リスクなどを示す所見を得ることを目標とした。 BDNF(val66met)多型における検討では、発症年齢で層別化すると若年発症群で特性不安尺度がMet/Met群で高く、Val/Val群で低くなり、逆に健常者ではMet/Met群で低く、Val/Val群で高くなるという傾向が見出された。うつ病やエピソード記憶の障害や不安感受性に関する動物実験など過去の報告ではMetアレルの方の関与が示されているが、今回の検討ではパニック障害において発症年齢の若い群を抽出した場合に顕著に示され、健常者とパニック障害においては環境やストレスに対する感受性の相違があることが示唆された。また、薬剤代謝酵素関連遺伝子であるCYP2D6 C100T多型を用いた検討で(薬物療法中の)パニック障害疾患群においてCC群とTキャリア群とを比較したところCC群において抑うつ尺度(SDS得点)が高値となった。このことは薬物代謝酵素関連遺伝子の多型による代謝活性の違いについても考慮が必要な事を示している。青年期の健常者を対象としてドーパミン2受容体C957T多型と不安感受性(状態不安、特性不安)に関する検討を行ったところ、男性ではTキャリア群、女性はCC群が高値を示し、男女で結果が逆転する傾向があった。従来の報告で示されたCC群と不安との関連性が特に女性において認められ、更には不安感受性に関する性差を説明する可能性が示唆された。
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Research Products
(15 results)