2010 Fiscal Year Annual Research Report
発達早期の社会的ストレスが辺縁系GABA性神経系機能に及ぼす影響に関する研究
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21591484
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
兼子 幸一 鳥取大学, 医学部, 准教授 (50194907)
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Keywords | 社会的ストレス / 母子分離 / 社会的隔離 / 社会的行動 / GABA作動性神経系 / 前頭前皮質 / 扁桃体 / モノアミン系神経修飾因子 |
Research Abstract |
平成22年度は,前年度の予備研究から,仔の捕殺減少が少なかったWistar系ラットを用いて,発達早期における社会的ストレスが扁桃体外側核(LA),前頭前皮質(PFC)のGABA作動性神経系に及ぼす影響の検討を試みた. 使用した社会的ストレスは下記の通り. 1.生後3~22日目,1日3回,各1時間の母子分離 2.離乳後(生後22日~同40日目)の社会的隔離(単独飼育) 6腹中2腹において,母子分離の期間中に,母ラットが分離歴のある仔ラットを捕殺したため,2群を併せた仔ラットの総数は42となった. 上記2種の社会的ストレスを加えたラットは,いずれのストレスも負荷せず,通常の環境で養育されたラットに比べて,生後3週(p<0.05)および6週(p<0.01)のいずれの時期においても体重の増加速度が有意な遅延を示した. 生下時体重 生後3W 生後6W ・社会的ストレス(+)群(N=19): 7.5±0.1g 45.2±4.7g 160.3±6.2g ・社会的ストレス(-)群(N=23): 7.5±0.1g 53.8±4.4g 177.9±8.1g ○免疫組織学的解析の結果 社会的ストレス(+)群では,ストレス(-)群に比べて,LAおよび内側PFCのII/III層で,parvalbumin陽性細胞のみ,細胞密度の増加を認めた(p<0.01).これに対して,これらの領域においては,calretinin陽性細胞およびcalbindin陽性細胞の密度には差がなかった.また,PFCの他層では,すべてのGABA作動性神経細胞系で群間差を認めなかった. 平成23年度は上記の有意差が認められた脳領域において電気生理学的解析を行う予定にしている.
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