Research Abstract |
本研究では,ヘミ・パーキンソン病モデルラット(6-OHDAラット)のなかからL-DOPA単回投与群と反復投与群を抽出する。1日1回のL-DOPA投与に際して,芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素阻害薬(末梢におけるL-DOPAの代謝を阻害し,L-DOPAがより効率的に脳血管関門を通過できる)のbenserazide (15mg/kg, i.p.)を投与し,その後にL-DOPA methyl ester (15mg/kg, i.p.)を投与する。単回投与群の動物には1回のみのL-DOPA投与,反復投与群の動物には2週間連日のL-DOPA投与を行い,いずれの群もL-DOPA最終投与2時間後に,ペントバルビタールによる深麻酔下,ラット脳を灌流固定する。取り出された脳は,後固定後,ミクロトームにより凍結切片とし,その後は浮遊法で免疫染色を施行する。ラット大脳基底核(線条体,淡蒼球,視床下核),DA神経終末部位(前頭前野,側坐核,扁桃体),更に主なアミン性神経核(黒質・腹側被蓋野-DA神経核,青斑核-ノルアドレナリン神経核,背側縫線核-セロトニン神経核,マイネルト核・脚橋被蓋核・橋背外側被蓋核-アセチルコリン神経核)に関してc-Fos, FosB及びZif268陽性細胞の分布を調べ,それぞれについて発現の部位特異性,L-DOPA反復投与に伴う免疫陽性細胞数の変化を観察する。 L-DOPA反復投与に伴い,関心領域全般についてc-Fos, Zif268の発現は低下するのに対し、FosB発現は破壊側(ドパミン入力遮断側)の帯状回前部、線条体背側において増加する傾向を確認した。 結果より,L-DOPA製剤の長期服用による副作用発現にFosBを介した神経機構が関与する可能性が示唆された。
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