2010 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス障害モデルにおける接触刺激に対する応答反応と無生物に対する攻撃応答反応
Project/Area Number |
21591487
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
口岩 聡 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (90161637)
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Keywords | 接触刺激応答行動 / 蹴飛ばし行動 / 噛みつき行動 / ストレス障害モデル / 欝病モデル / 統合失調症モデル / 隔離飼育動物 / 行動学実験 |
Research Abstract |
昨年度の研究に引き続き、痛覚を伴わない接触刺激に対するマウスの応答反応の強度および反応発現頻度を計測するための研究機器の開発および改良を行った。装置の改良は室町機械株式会社と共同で行い、改良機を用いて昨年度の実験を発展させた。マウスを動物チャンバー内に収容し、チャンバー底部から金属棒を上昇させて、マウスの後肢または腹部に接触刺激を与え、その刺激に対する蹴飛ばし行動の発現強度を刺激棒に取り付けたロードセルによって力学的に計測し、また行動発現頻度を記録できるようにした。また頭部に対する接触刺激を行い、上述と同様に刺激棒に対する攻撃行動(噛みつき行動)の強度と発現頻度を計測できるようにした。健康なddY系マウス雄産仔を生後3週で離乳し、隔離飼育または集団飼育した。隔離飼育開始前、隔離飼育開始後1週、3週、5週、7週において、改良した実験装置を用いて、接触刺激に対する応答行動を半定量的に計測した。隔離動物は集団飼育の対照群マウスに比較して刺激棒に対する蹴り行動および噛み行動が時間依存的に増大した。また、隔離飼育動物を集団に戻すと、両応答行動は時間依存的に有意に減少した。長期隔離飼育を行ったマウスを4日ごとに1ヶ月間計測を行った試験では、計測期間中に有意な計測値の増減は観察されなかった。長期隔離飼育を行った慢性的ストレス負荷動物は、統合失調症モデルおよびうつ病モデルとされ、抗精神病薬および抗うつ薬の評価試験に使用されている。本研究の結果から、蹴飛ばし行動と噛みつき行動を評価することにより統合失調症およびうつ病の発症前プレスクリーニングが可能であると考えられた。また、両応答反応を行動指標として用いることにより、これらの疾患モデルの病状進行または寛解を定量的に計測できることが示唆された。さらに、本試験は、同一個体を用いた長期間のストレス症状の変化を評価することに有効であると考えられた。
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Research Products
(2 results)