2011 Fiscal Year Annual Research Report
認知機能低下をもたらす神経変性および非変性鑑別のための病態分子マーカー検索
Project/Area Number |
21591489
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
相馬 仁 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (70226702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小海 康夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20178239)
齋藤 利和 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50128518)
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Keywords | アルツハイマー病 / プロテオーム解析 / 血漿バイオマーカー / アネキシンA5 / MFG-E8 |
Research Abstract |
認知症の中で最も大きな割合を占めるアルツハイマー病(AD)の診断をより客観的に広く行うことに貢献できる研究の一つとして、血漿分子マーカーの検索を行ってきた。ADでは、異常な謝産物Aβ_<42>が神経細胞障害をもたらす主な因子であると考えられる(アミロイド仮説)。ADの診断で脳脊髄液中のAβや微小管のタウ蛋白質の検出が有用と考えられてきた。しかし、この方法は侵襲性が高く一般的に実施できるものではなく、血漿マーカーによる低襲性の方法は極めて有用である。本計画で、マウス胎児終脳より調製し初代神経培養細胞をモデルとして用い、Aβ_<42>ペプチドによる細胞障害刺激で細胞外に分泌された物質に注目した。様々なリン脂質を表層に固相化できる磁性ナノ粒子(ナノリポソーム、特願2008-234579)を用いて、アポトーシスにより細胞膜表面に出現する酸性リン脂質であるホスファチジルセリン(PS)をコートしたナノリポソームに結合する画分に含まれる蛋白質を、質量分析器(MSおよびMS/MS)を用いてプロテオーム解析を実施した。その結果、以前報告したannexin A5以外にアポトーシス関連因子が同定された(MFG-E8、ProSAAS、SFRP1、Rik protein)。特に、MFG-E8に関しては、AD動物モデルとして広く使われるトランスジェニックマウス(Tg2576)脳での発現上昇を確認し、更に、ヒト血漿においてもADで上昇する傾向にあることを明らかにした。その他の候補マーカーが見出されたことで、複数の候補マーカーを同時に解析する客観性が高い方法の提案が可能となった。今後、これらの候補マーカーの真正性についてさらに検討を続ける予定である。
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