2011 Fiscal Year Annual Research Report
セリン生成関連遺伝子PSAT1の機能解析による統合失調症の病態解明と治療法の開発
Project/Area Number |
21591492
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
尾關 祐二 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90303768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 久彌子 獨協医科大学, 医学部, 講師 (70314151)
下田 和孝 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30196555)
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Keywords | 統合失調症 / L-セリン / L-グルタミン酸 / phosphoserin aminotransferase / phosphoserine phospatase / phosphoglycerate dehydrogenase |
Research Abstract |
はじめに:我々はこれまでに染色体均衡型相互転座を持つ統合失調症患者家系からL-serin合成酵素の1つphosphoserin aminotransferase(PSAT)のmRNA発現量の低下と、血漿中L-serine低下を見出した。この結果から、一般的な統合失調症患者におけるセリン合成経路の異常を予測し、研究を開始した。 成果:統合失調症患者43名(男性:25名女性:18名平均年齢:51.7[13.6])と健常被験者33名(男性:18名女性:15名平均年齢:46.8【13.7】)を対象にセリン合成酵素の1つphosphoserine phospatase(PSP)の酵素活性を測定し、重回帰分析で年齢と性別を補正して比較したところ有意な差を認めた(p=0.010、統合失調症患者の活性:平均43.7[20.6]μU,健常被験者:29.0[23.8]μU)。また、血漿中L-serine濃度と統合失調症の重症度(陽性・陰性症状評価尺度)が有意に関連すること(p<0.05)、さらにはPSPのmRNA発現量が統合失調症患者で低下し、セリン合成酵素の1つphosphoglycerate dehydrogenaseのmRNA量が統合失調症患者で増加していることを見出した(共にp<0.05)。現時点ではPSATの酵素活性は疾患に特徴的な変化は認められていない。 考察:本研究によって統合失調症患者ではセリン合成系の異常があることが示唆され、こうした経路をさらに調べることで、客観的な指標を用いた統合失調症の診断方法や統合失調症の治療・予防方法が見出される可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)