2009 Fiscal Year Annual Research Report
多様化した気分障害患者に関する画像・分子薬理学的研究
Project/Area Number |
21591494
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中村 純 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 教授 (40148804)
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Keywords | うつ病 / MRI / DTI / 脳由来栄養因子 / 血漿中MHPG / 血漿中HVA / NO_X濃度 / GABA |
Research Abstract |
平成21年度は、他覚的なうつ病評価尺度であるハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)および自覚的なうつ病評価尺度である社会適応度自己評価尺度(Social Adaptation Self-evaluation Scale : SASS)を用いて、双極性障害を含む6例の気分障害患者を本研究にエントリーした。血中脳由来神経栄養因子(BDNF)、血漿中MHPG,HVAの測定、MRIの撮像条件などは、既に産業医科大学精神医学教室および同放射線科で確立しており、GE社製3テスラーのMRI装置を用い、DTI、容積、高分解能T2強調画像により海馬の詳細な形態変化を検討した。定量的評価は1名の放射線科医がT2強調画像を用いて海馬頭部から尾部、全脳の灰白質、白質、脳脊髄液、脳実質の体積、乳頭体から5スライス(12.5mm)後方における海馬体部の各構造(CA1,CA3-4,海馬台)の厚みなどを測定した。その結果、正常者に比べて、気分障害患者のうつ状態時には海馬(CA3-4の高さとCA1)が小さいことが明らかになった。典型的なうつ病患者の1例はセルトラリン100mgで症状がHAM-D20点が3点に改善したが、その治療後には海馬の測定値もわずかに改善していた。症例数が少ないために放射線科で得られた結果の統計的な解析および生化学的な検討はまだ行っていないが、多様化したうつ病の病態を生物学的なマーカーや脳形態の変化などにより明らかにできると考えている。
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