2010 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドPETとMRIによるアルツハイマー病の早期診断法の確立
Project/Area Number |
21591499
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藁谷 正明 東北大学, 加齢医学研究所, 非常勤講師 (50533775)
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Keywords | アルツハイマー病 / 軽度認知障害(MCI) / 早期診断 / 予後予測 / アミロイド-PET / BF-227 / FDG-PET / MRI |
Research Abstract |
[^<11>C]BF-227は老人班を検出する、本邦で工藤らにより開発されたアミロイドPETプローブであり、アルツハイマー病(AD)早期診断に有用である.前年度に引き続き、AD早期における大脳のアミロイド沈着、大脳萎縮の程度と認知機能との関連について症例数を増やし、経年的検討を行った.対象は、control(健常高齢者)12名,軽度認知障害(MCI)19名,AD15名.全例で経年的に追跡(27.0±7.9ヵ月;14-30ヵ月)し、MCIは、AD進行例をconverter(10例)、非進行例をnon-converter群(9例)に分類した.これらについてAD、MCIの予後予測における[^<11>C]BF-227PET,大脳海馬傍回萎縮、大脳灰白質萎縮評価法としてMRI解析:MRI-VBM(MRI-voxel-based morphometry)及びVSRADの比較検討を行った.ROC解析で、AD早期診断においてBF-227-PETは、SUVR値のcut off値=1.11とした場合、AD群vs.controlで診断感度100%、診断特異度91.7%であった.またMCIのcomverter群vs.non-converter群では診断感度100%、診断特異度50.0%であった。MRI-VBM解析では、cut off値=0.537とした場合、AD vs.controlで診断感度80%、診断特異度100%であった.MCIのconverter群vs.non-converter群では診断感度66.6%、診断特異度50.0%であった.以上から、[^<11>C]BF-227-PETはMRIよりもAD早期診断精度に優れているが、進行度、重症度の評価にはMRIの方が有用であると考えられた.またMMSEスコアは、BF-227集積あるいは海馬傍回萎縮の程度と有意な相関を認めず、大脳灰白質萎縮率とのみ有意な相関を認めた,本研究及びこれまでの知見から、アミロイド沈着は認知症症状あるいは脳委縮の出現するかなり以前から徐々に蓄積し、臨床的にMCIあるいはADの段階では既に大脳皮質のアミロイド沈着はプラトーになっている可能性がある。したがってMCIより前の前臨床症状段階(preclinical stage)でのアミロイドPETやMRIによる評価が、ADの早期診断、進行予防及び治療に重要であると思われる。今後、前臨床症状段階のsubjectの検討及びMRI、PET所見と血漿、尿及び脳脊髄液中のアミロイド、タウ等の体液バイオマーカーとの関連を解析する予定である.
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Research Products
(3 results)