2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の神経細胞変性におけるGABA受容体の関与に関する研究
Project/Area Number |
21591502
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水上 勝義 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20229686)
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Keywords | アルツハイマー病 / 海馬 / 神経細胞変性 / GABA / 興奮毒性 / ubiquilin / βアミロイド |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の病態仮説として、アミロイド仮説がもっとも有力とされるが、それだけでは神経細胞変性を説明できないのが現状である。我々は興奮伝達系が神経細胞変性に関連するという仮説(興奮毒性仮説)に基づき、研究を進めてきた。今回は抑制性神経伝達系の代表的な存在であるGABA伝達系の障害について検討した。 UbiquilinはGABA受容体の発現を調節する蛋白質である。この蛋白質の変化はGABA受容体を介した抑制性神経伝達系の障害をもたらすことが考えられる。そこでAD患者の剖検脳海馬におけるubiquilinの発現を免疫組織化学的に検討した。その結果ubiquilinは認知機能が正常の高齢者では海馬全域に強く発現した。AD病理が始まるとAD脳で神経細胞が抵抗性を示すCA3領域でubiquilinの発現はさらに増強した。しかし高度ADでは海馬全域でubiquilinの発現は著明に低下した。このことからubiquilinはAD脳の神経細胞に対して抵抗性を与えている可能性が考えられた。これらの知見について現在投稿準備中である。 また脳内のβアミロイド沈着と神経細胞変性の関連を検討するための予備調査として、アミロイドイメージングでみられるアミロイド所見と、剖検脳におけるアミロイド染色との関連を検討した。その結果、アミロイドイメージングで検出されないアミロイド沈着があることを報告した。アミロイドイメージングのより正確な評価にむけてさらなる検討が必要と考えられる 以上の検討から、興奮毒性と神経細胞変性との関連について新たな知見を発見できた。興奮毒性を改善するAD治療薬が昨年上市されたこともあり、AD脳における興奮毒性の解明は今後ますます重要になると考えられる。
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Research Products
(2 results)