2011 Fiscal Year Annual Research Report
気分障害の自殺リスク評価における光トポグラフィの実用化
Project/Area Number |
21591503
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
亀山 正樹 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00455982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 正人 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20221533)
高橋 啓介 群馬大学, 医学部, 助教 (20455984)
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Keywords | 自殺 / 気分障害 / NIRS / 脳画像 / うつ病 |
Research Abstract |
本邦では1998年以来、年間自殺者3万人台という深刻な事態が続いている。こうした現実から2006年6月には自殺対策基本法が成立しその予防のためさまざまな取り組みがなされている。しかし自殺リスク評価は困難であり、生物・心理・社会的視点から包括的な取り組みをすべきであるが、現在、生物学的視点からの評価法が十分でない。 本研究は、気分障害における自殺リスクの評価法を、非侵襲的で時間分解能に優れた脳機能画像検査である近赤外線スペクトロスコピーnear-infrared spectroscopy NIRSを用いることで、脳機能動態の観点から検討することを目的とした。本研究では、これまでわれわれがおこなってきた精神疾患に対してのNIRSをもちいた研究成果にもとづいた、(1)気分障害の自殺リスクを評価するためのNIRS検査法の確立、(2)その検査法を用いた気分障害における自殺に関連した脳機構の解明、(3)そうした結果にもとづいた自殺の予防および危険者への介入への臨床応用の可能性、の3点の検討をおこなった。 本研究では、単極性うつ病・双極性障害の患者を対象としたNIRS検査をおこないその結果を検討した。得られたデータについて脳賦活反応性の特徴を比較し、また、HAM-D(うつ状態)・Young(躁状態)などの臨床症状評価尺度で測定した精神症状との関連について検討し、また自殺についてHAM-Dの下位項目である自殺念慮との関連について検討をおこなった。その結果、うつ状態の臨床症状尺度および自殺念慮の重症度と前頭葉の脳賦活反応性が関連していた。このことから、NIRSが気分障害患者の自殺に関連する脳機能動態の測定に有用であることが示唆された。将来は気分障害における自殺リスクについて脳機能画像検査にもとづく予測や介入が応用されることが期待される。
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Research Products
(1 results)