2009 Fiscal Year Annual Research Report
児童期の双極性気分変調に関する実態調査と類型化の試み
Project/Area Number |
21591504
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上原 徹 Gunma University, 健康支援総合センター, 准教授 (60303145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 真史 群馬大学, 医学部, 医員 (30553747)
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Keywords | 気分変調 / 軽躁 / 若年期 / 大学生 / 双極性障害 / うつ状態 / スクリーニング / メンタルヘルス |
Research Abstract |
児童青年期における微妙な気分変動は、不快気分への対処としてのリストカット、集中力や意欲の低下による不登校、気分高揚による薬物使用など様々な問題として表出される。その背後にある児童青年期の捉えにくい気分変調スペクトラムの実態を明らかにし、どのような行動、脳機能、心理症状と結びつくのかを検討することを、本研究の目的とした。本学では新入生ならびに在校生の健康診断の一環として、自己記入式質問紙によるメンタルヘルス・スクリーニングを行っている。本年度は、抑うつや気分変動、精神心理的問題が疑われる学生に、児童期から現在に至るまでの躁的気分変動に関する構造化面接(MINIの双極性障害面接項目module D)を行った。対象は5550名の大学生のうち、自記式抑うつscreeningにより選択された101名の新入生と149名の在学生を母集団とした。その結果、何らかのbipolarityを持つ学生は、mania(0.7%)、hypomania(6.3%)、それ以外のsubclinicalな易変性(question D1 and/or D2)を含めると、22%が児童期以降何らかの気分変調の既往および現在症を有していた。精神科併存症は、女性が37.0%で男性より(20.0%)有意に多く(p<0.21)、depression得点は年齢と負の相関を示した(r=-0.21,p<0.01)。新入生の精神健康調査(UPI)得点は、bipolarityを示す学生で有意に高かった。メンタルヘルス・スクリーニングでhigh-riskと判断された大学生では、児童期からのsubthresholdなbipolarityの既往歴が、現在の抑うつを含めた精神心理的問題と関連している。来年度は、調査研究に協力が得られた学生に、心理社会行動面の調査、ならびに認知機能、脳血液変化測定を行い、気分変動に関わる要因を分析する予定である。
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