2010 Fiscal Year Annual Research Report
児童期の双極性気分変調に関する実態調査と類型化の試み
Project/Area Number |
21591504
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上原 徹 群馬大学, 健康支援総合センター, 准教授 (60303145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 真史 群馬大学, 医学部, 医員 (30553747)
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Keywords | 気分変調 / 軽躁 / 児童青年 / 大学生 / 双極性障害 / うつ状態 / スクリーニング / メンタルヘルス |
Research Abstract |
児童青年期における微妙な気分変動は、自傷行為、集中力や意欲の低下による不登校、気分高揚による薬物使用など、様々な問題として表出される。本研究では、その背後にある児童青年期の捉えにくい気分変調スペクトラムの実態を明らかにし、どのような行動、脳機能、心理症状と結びつくか、関連性を検討している。本年度は、新入生ならびに在校生の健康診断の一環として行っている自己記入式質問紙メンタルヘルス調査に、双極性気分変動をスクリーニングする2つの質問(高揚気分と易刺激性)を加え、抑うつや精神病的症候、食行動異常などとの関連について解析を行った。対象は春の健診を受検した5425名の大学生で、うち有効回答者は在校生4138名新入生1263名だった。記入時の2週間前後に双極性障害の症状項目をしばしば満たす割合は、在校生で高揚気分46名(1.1%)易刺激性63名(1.5%)両者10名(0.3%)、新入生では高揚気分13名(1.1%)易刺激性32名(2.5%)両者6名(0.5%)だった。重回帰分析の結果、両質問項目得点は、感情易変性やイライラ感、自殺念慮、興味・関心の減退、食欲睡眠の変化などの抑うつ症状と強く関連し、幻聴や関係念慮、食や体型のこだわり、生活障害度とも有意な相関を示した。双極性気分変調の時点兆候は一般大学生の0.3~0.5%に認められ、こうした事例では、混合状態や躁うつ急速交代などの情動易変性、精神病的症候、食行動異常の併存にも注意して対応する必要があるだろう。来年度は、健康な一般学生における気分変調傾向と、心理社会行動特性、注意機能、および近赤外線分光法による前頭葉脳血液量変化賦活との関連を分析し、微細な気分変動に影響する要因を多元的に分析する。
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