2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病における自律神経機能評価などによる中枢神経機能評価の試み
Project/Area Number |
21591510
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅垣 宏行 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (40345898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 裕介 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (90378167)
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Keywords | 認知症 / 老化 / ストレス |
Research Abstract |
1)動物実験 8週齢のWhisterラットに塩酸ドネペジルを2週間連日投与し、HRVの測定をday1,day7,day14に行った。Day1の測定では、ChEIの投与によって、有意なLF/HFの上昇が観察されたがHFには有意な変化を認めなかった。LF/HFの上昇はday7、day14と時間経過とともにゆるやかとなったが、day14にはHFの有意な上昇を認めた。ChEIは自律神経系に影響を及ぼすことが示された。その影響は投与期間によって異なり投与の初期時には交感神経系優位であるが、時間経過とともに徐々にその影響は低下し、副交感神経への影響が優位になっていくことが示唆された。ChEIを臨床で用いる場合の副作用の発現の可能性や機序を考える際にも、自律神経系への影響を考慮する必要があると考えられる。 2)臨床研究 外来受診患者138名(Control群18名・軽度認知機能低下(MCI)群26名・アルツハイマー型認知症(AD)群94名)に対して、心拍変動解析による自律神経機能検査を行った。Geriatric Depression Scale-15 (GDS-15)の得点を目的変数として、(Control群・MCI群・AD群毎に、心拍変動の各因子を説明変数とした多重線形回帰分析を行った。年齢、性別、教育歴、糖尿病の有無によって調整した。AD患者において交感神経機能の指標であるLF/HF比とGDS-15の得点に有意な逆相関を認めた。AD患者においては抑うつと交感神経活動の低下に関連があることを示唆する結果となった。 3)まとめ 基礎研究及び臨床研究を通じ、中枢神経系と自室神経系は複雑に関連しており、治療や病期によって多様に影響をうけることが明らかになった。
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