2011 Fiscal Year Annual Research Report
拡散テンソル画像を用いた非定型精神病における視床下部へのフィードバック障害の解析
Project/Area Number |
21591512
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
城山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (00252354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正幸 三重大学, 医学部付属病院, 講師 (70219278)
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Keywords | 非定型精神病 / 拡散テンソル画像 / 視床下部 / 気分障害 / 統合失調症 / 脳弓 / 脳白質 / 双極性障害 |
Research Abstract |
非定型精神病に該当する患者群9例(男性2例、女性7例)と年齢・性の一致する健常群10例を対象に、拡散テンソル画像により脳弓体部の線維束構造を調べた。患者群はDSM-IV診断では失調感情障害2例、統合失調症様障害1例、精神病症状を伴う双極性障害4例、および統合失調症2例と診断され、統合失調症2例はLeonhardの分類では非系統性統合失調症に該当した。DTIstudioを用いてFACT法によるfiber trackingをおこない、脳弓体の線維構造評価の指標としてFA, Meandiffusivity (MD), Radialdiffusivity (RD), Axialdiffusivity (AD)それぞれの平均値を患者群と健常群で比較した。患者群では上記指標の分布はばらつき、2例のFA値は健常群の最大値よりも高値であり、この2例を除いて解析すると患者群ではFA低値、MD,RD,ADが高値であり、神経束線維群の統合性の障害、髄鞘化の障害、軸索外のグリア細胞の障害などの可能性が考えられた。FA高値の患者2例では、RDが健常群の最小値よりも低く、ADは高値でないことから、神経束内の交叉線維群の減少による見かけ上のFA高値である可能性もあると考えられた。患者群の年齢、初発年齢、罹病期間、再発回数とFA,MD,RD,ADとの相関はなかった。GAF値は寛解状態にある患者(7例)でも高値と中等度の値に2極化し、FAとの正の相関,MD,RDとの負の相関がみられた。寛解状態にありながらもGAF中等度の患者群では上述の脳弓線維束の構造障害が関与する可能性があり、GAF,FAともに高値の2例も障害様式の異なる脳弓線維束の障害が存在する可能性がある。以上のことから、非定型精神病の病態には、海馬から視床下部へのフィードバック経路である脳弓構造の障害が関与する可能性が示唆された。
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