2011 Fiscal Year Annual Research Report
抑うつに関与する脳腸神経ペプチドが気分障害患者の脳基盤異常に与える影響
Project/Area Number |
21591519
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松尾 幸治 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (00292912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 敏郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (60526896)
大朏 孝治 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10535256)
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Keywords | うつ病 |
Research Abstract |
【背景】喜びの喪失や食欲低下といったアンヘドニアは大うつ病性障害(MDD)の重要な症状であり、中脳辺縁系の神経回路が関与していると想定されている。神経ペプチドのグレリンは食欲や報酬に重要な役割があるが、MDDのグレリンについてはほとんど明らかになっていない。そこで今回我々は、MDD患者の血漿アシル化グレリン濃度と脳体積変化の関係について検討した。 【方法】24名のMDD患者および24名の年齢、性別、知能指数が統計的に一致している健常者を研究対象とした。血漿アシル化グレリン濃度は早朝空腹時に測定した。Voxel-based morphometry (VBM)を用いていくつかの部位体積において血漿アシル化グレリン濃度と有意な主効果が見られたため、その部位体積に関してMDD患者と健常者の比較を行った。また血漿アシル化グレリン濃度を補正してMDD患者と健常者の2群比較をVBMを用いて比較した。 【結果】MDD患者と健常者では血漿アシル化グレリン濃度は有意差が認められなかった。MDD群では、グレリン濃度は食欲低下の重症度と有意な正の相関を示した。全脳体積分析では、グレリン濃度は腹側被蓋野灰白質体積と有意な負の相関を示した。MDD患者は健常者と比べてこの部位は有意に小さかった。血漿アシル化グレリン濃度を補正した解析では、MDD患者は健常者と比べて黒質の灰白質体積が小さかった。この黒質部位はさきの腹側被蓋野部位と近接していた。 【結論】この研究の所見は血漿アシル化グレリン濃度は快楽/報酬系システムの神経異常に関与しており、MDDの病態生理に関与しているかもしれないことを示唆している。
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[Presentation] Association of Plasma Ghrelin Level and Morphometric Abnormalities in Patients with Mood Disorders2011
Author(s)
Matsuo K, Nakano M, Nakashima M, Kobayashi A, Hara K, Fujii Y, Hashimoto A, Egashira K, Uchida S, Matsubara T, Watanabe Y
Organizer
17th Annual meeting of the organization on Human Brain Mapping
Place of Presentation
ケベック、カナダ
Year and Date
2011-06-27
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