2009 Fiscal Year Annual Research Report
コンプレキシンII遺伝子欠損マウスを用いたストレス脆弱性メカニズムの研究
Project/Area Number |
21591522
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
加藤 邦夫 Kochi University, 教育研究部・医療学系, 教授 (70346708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 真理 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60380325)
山内 祥豪 高知大学, 教育研究部・医療学系, 助教 (90437723)
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Keywords | 統合失調症 / ストレス / 神経科学 / 遺伝子 / 行動薬理学 |
Research Abstract |
統合失調症に関わる遺伝子は数多く報告されているが、今回はコンプレキシンIIに注目して研究を行っている。コンプレキシンIIはシナプス前に局在し、統合失調症患者の死後脳、海馬においてタンパク発現の減少が指摘されている。また統合失調症の発症にはストレスの関与も大きいことが知られているが、我々はこの実験モデルとして母子分離ストレスを用いている。これまでの研究ではコンプレキシンII欠損マウスは、母子分離ストレスを負荷すると電気生理学的な解析において記憶の素子として知られている海馬の長期増強(LTP)が障害されることから、ストレス脆弱性との関連を指摘してきた。平成21年度は統合失調症で異常が認められているドパミン神経系との相互作用、また神経栄養因子の発現量との関連を調べた。方法としてはドパミンの間接的な作動薬であり、統合失調症の症状と類似性が認められる覚せい剤であるメタンフェタミンを用い、誘発される異常行動にコンプレキシンIIが関与するかどうかの実験を行った。また、海馬のLTPに影響を及ぼし、ドパミン神経の機能とも関わりがあると考えられている神経栄養因子のBDNFのmRNAレベルを大脳皮質や海馬において測定した。予備的な結果ではあるが高用量のメタンフェタミンを適応した場合コンプレキシンII欠損マウスにおいて異常行動が増加し、母子分離ストレス負荷時に大脳皮質のBDNFのmRNA発現が変化していた。これらの結果は、コンプレキシンIIがストレス反応やドパミン性神経伝達に何らかの影響を及ぼしている可能性を示唆しており、現在追加実験を行っているところである。
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Research Products
(1 results)