2010 Fiscal Year Annual Research Report
コンプレキシンII遺伝子欠損マウスを用いたストレス脆弱性メカニズムの研究
Project/Area Number |
21591522
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
西原 真理 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60380325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 祥豪 高知大学, 教育研究部・医療学, 助教 (90437723)
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Keywords | 統合失調症 / ストレス / 神経科学 / 遺伝子 / 行動薬理学 |
Research Abstract |
コンプレキシンIIはシナプス前に限局して発現しているタンパク質であり、グルタミン酸などの神経伝達物質の遊離を調節する機能を有することが知られている。一方、統合失調症は多因子遺伝の疾患であり、関与する遺伝子は多く見出されているが、その中でもシナプスに関連する遺伝子の影響が大きいと報告されている。また、統合失調症の死後脳研究ではmRNAでも、タンパク質レベルでもコンプレキシンIIが側頭葉で減少しており、これが認知機能に関連していることが分かっている。我々はこのコンプレキシンII欠損マウスに母子分離ストレスを付加した場合、電気生理学的な実験から海馬の長期増強現象が障害され、また空間学習が上手に行えないことを示してきた。これをもとに平成22年度は、Rotarodによる運動学習機能や高架式十字迷路を用いた不安行動を調べた。コンプレキシンII欠損ヤウスは、通常の運動機能に明らかな障害は認められないものの、野生型と比較して運動学習は障害されていることが分かった。また高架式十字迷路ではOpenにいる時間、侵入回数などについて解析を行なったが、コンプレキシンII欠損マウスと、野生型に有意な差を見出すことはできなかった。これについては方法論を含めて更に検討する予定にしている。 現在、進行中の研究としては、コンプレキシンIIと大脳皮質、海馬、小脳におけるBDNF、GR、TrkBのmRNAレベル及び母子分離ストレスの相互作用についての検討、認知機能の指標としてのプレパルスインヒビションへの影響(動物モデルとして知られているMK-801を用いて)を挙げることができる。未だ充分な結果は得られていないが、今年度はそれについてまとめていく予定としている。
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