2011 Fiscal Year Annual Research Report
コンプレキシンII遺伝子欠損マウスを用いたストレス脆弱性メカニズムの研究
Project/Area Number |
21591522
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
西原 真理 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60380325)
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Keywords | 統合失調症 / ストレス / 神経科学 / 遺伝子 / 行動薬理学 |
Research Abstract |
コンプレキシンは神経伝達物質遊離メカニズムに重要な役割を果すことが知られているタンパク質である。サブタイプはI~IVまであるが、我々はコンプレキシンIIに注目して、研究を行ってきた。また、このタンパク質は統合失調症や、うつ病、またハンチントン舞踏病などの精神疾患、神経疾患との関連が数多く報告されている。特に統合失調症の死後脳研究ではmRNA、タンパク質レベルでコンプレキシンIIが減少しており、これが認知機能に関連するとの所見や、コンプレキシンII欠損マウスとうつ病モデルとの関連を示唆する研究など発表されていることは注目に値する。これまで我々はこのコンプレキシンII欠損マウスと母子分離ストレスを組み合わせた場合に、海馬の長期増強現象が障害されることや空間学習が阻害されることを示し、また本科学研究費補助金の課題においてコンプレキシンII欠損マウスで小脳性の運動学習(Rotarod試験)が形成されにくいことが明らかとなった。残念ながら、高架式十字試験による不安行動評価、プレパルスインヒビションによる認知機能評価では欠損マウスと野生型に違いを見出すことはできなかった。また、続いて欠損マウスと母子分離ストレスの相互作用が大脳皮質、海馬においてBDNFのmRNAレベルに影響するかどうか、リアルタイムPCRを用いて調べたところ、野生型ではストレスにより大脳皮質でBDNFのmRNAが増加するが、欠損マウスでは増加は見られず、海馬でも同じ傾向が示された。解釈は困難な部分もあるが、これは海馬の可塑性への影響も考えられる結果である。続いて、欠損マウスにおける痛覚過敏性を調べるためにVFテストを行なった。現在データを解析中であるが、機械刺激による足引っ込め反射が野生型と比較して欠損マウスでは出現しやすいという興味深い傾向が示されている。
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Research Products
(3 results)