2009 Fiscal Year Annual Research Report
衝動性評価は重症度評価を超える双極性障害自殺予測因子となり得るか?
Project/Area Number |
21591528
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
小瀬 朝海 Wakayama Medical University, 医学部, 助教 (10405425)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠崎 和弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40215984)
鵜飼 聡 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80324763)
辻 冨基美 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10347586)
上山 栄子 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40405444)
正山 勝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70364081)
|
Keywords | 衝動性 / 双極性障害 / 自殺予防 |
Research Abstract |
双極性障害の衝動性がtrait(素因)として高いこと、それが自殺に及ぼす影響について調査を継続している。衝動性については、生物学的マーカー(エンドフェノタイプ)は存在しないため、この研究では、衝動性に注目し、衝動性検査(特にBarratt Impulsiveness Sccale-11 : BIS-11)を用い、衝動性を中心に双極性障害の自殺研究することにより、自殺のリスクスクリーニングの構築を目指した。 これまで、患者86名(気分障害圏56名、統合失調症圏15名、不安障害圏13名、人格障害圏2名)とコントロール群30名を対象に調査を行った。 これまでの調査の結果、コントロール群、気分障害(単極性障害、双極性障害)、統合失調症においてBIS-11を用いた衝動性の評価を行ったところ、コントロール群と、気分障害、統合失調症では優位差があった。また、単極性障害(うつ病)より、双極性障害の方がBIS-11が高く、衝動性が高いことが示唆された。更に投与されている薬物とBIS-11の関係についても調査すると、バルプロ酸を用いた気分障害圏の患者群が、用いられていない気分障害圏の患者群より、BIS-11の点数が低く、衝動性が軽減していることが示された。臨床経過との関連でも、BIS-11の低い人は自殺企図歴がない傾向にあり、臨床的に自殺の危険因子予測に役立つ可能性が示唆されている。 以上のことより、双極性障害は単極性障害より衝動性が高く、自殺率の危険性が高いことを示せており、より有効な自殺スクリーニングの構築が出来つつある。
|