2010 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症前駆期における精神症状・社会機能障害と脳基盤の関連についての縦断的研究
Project/Area Number |
21591533
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
水野 雅文 東邦大学, 医学部, 教授 (80245589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水村 直 東邦大学, 医学部, 准教授 (90287748)
森田 桂子 東邦大学, 医学部, 助教 (20449242)
根本 隆洋 東邦大学, 医学部, 准教授 (20296693)
片桐 直之 東邦大学, 医学部, 助教 (70459759)
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Keywords | 統合失調症 / 早期発見 / 予防 / MRI / ARMS / 早期精神病 |
Research Abstract |
統合失調症の経過の中で明確な精神病症状が発現する以前の精神病発症危険状態(ARMS)より脳の形態学的変化が生じていることが示唆されている(Pantelis et al., 2003)。ARMSから精神病が発症する過程で生じる脳の形態学的変化を脳MRIにより詳細に調べることが目的である。初診時にARMSと診断された症例の脳MRIを撮像し、1年後に発症した群(発症群)と発症しなかった群(非発症群)で、初診時に既に形態学的な相違があるかを調べた。また、発症群と非発症群の各群の1年間の縦断的な形態学的変化を追いその相違を検討した。 昨年度はSPM2による解析で如何なる有意な形態学的な変化も認めることはできなかったが、本年度は同症例に対し新たにAtlas based analysisによる解析を導入し非発症13例と発症3例の間で嗅内野の体積において1年間で有意な交互作用が生じていることを認めた。また、発症した1症例においては発病の過程で拡散テンソル画像上、前部帯状束のFA値の有意な低下が生じていることを認めた。 今年度までにARMS症例は32名が登録されており、現在、全症例に対しAtlas based analysisによる解析を予定している。32名の内4症例(12.5%)がARMSから精神病へと移行した。早期介入が脳の形態学的変化に及ぼす影響が検討されており、最近の報告では早期に認知機能リハビリを含む治療を開始した症例ほど、脳の形態学的変化が少なかったとの報告もある(Shaun et al., 2010)。我々が対象とした全症例ともARMSに特化した専門外来や、リハビリテーション施設での介入を受けていたことから、こうした介入が精神病発症の回避や脳の形態学的な変化に何らかの影響を与えた可能性もある。今後、各症例の認知機能と脳体積の変化についても解析を行う予定である。
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Research Products
(9 results)