2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591534
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
伊藤 敬雄 日本医科大学, 医学部, 講師 (60318475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 善朗 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20213663)
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Keywords | 医療・福祉 / 社会医学 / ストレス |
Research Abstract |
本邦の死因の第6位である自殺について、医療従事者はその事実を把握し、自殺予防対策において医学的見地から十分な認識が必要である。系統講義を終え臨床実地教育のため精神科臨床実習を行う第5-6学年の医学生77名に自殺予防への理解と具体的な介入スキルを身につけるために、効果的な教材の開発と研修の試験的実施をおこなった。 本邦における自殺の実態について、厚労省・警察庁そしてNPO団体からの資料を収集した。医学生にとって「自殺予防」に必要な「予備知識」について、「現状」「自殺者」「原因」「予兆」「予防」に分類し計50の下位項目とした。また、医学生に小講義や討論の前に「自殺企図」に対する率直な意見を求めるためのアンケートを4項目にまとめた。内容は、「完遂者へのイメージ」「未遂を繰り返すものへのイメージ」「身近なものの自殺の告白への対応」「未遂手段で多い向精神薬について」とした。さらに、3-4人ごとに行なう小講義教材をパワーポイント40枚にまとめた。 「予備知識」50項目の結果から、「自殺は誰にでも起こりえること」、「自殺と精神疾患の関連性」、「身体疾患・健康問題を動機としていること」、「中高年期に多いこと」といった極めて一般的な知識の不足が確認された。アンケートから、完遂者に対するイメージとして「孤独な精神的弱者」、未遂者については「死ぬ気はなく、周囲に何か訴えたい・興味・注意を引きたい者」といった意見も少なくはなかった。自殺予防のゲートキーパーになり得る医師を養成するためには、医学教育の中で自殺という「死因」の実態把握・理解とともに、自殺に関する医学・生物学的、心理・社会学的見地からの教育の必要性が考えられた。 今後、自殺予防対策のための効果的なグループ討論とロールプレイ進め方、学習教材について、医学生のレベルにあった質と量であるかを総合評価し改訂を加えていく予定である。
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Research Products
(2 results)