2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロPIXEによる赤血球元素分布の解析と、その臨床応用
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21591545
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
長嶺 竹明 群馬大学, 医学部, 教授 (90180520)
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Keywords | マイクロPIXE / 赤血球 / 腎性貧血 |
Research Abstract |
平成21年度は大気マイクロPIXE測定用の赤血球サンプル作製法を確率した。H22年度はその臨床応用を目的として研究を行った。透析患者は高度貧血を合併するためエリスロポエチンが投与されるが、この貧血の病態は未だ十分には解明されていない。透析患者ではアルミニウム、亜鉛、鉄、リン、カルシウムなど元素代謝の異常をきたし、透析に随伴する症状との関連が示唆されている。赤血球は採取が容易であり、赤血球内元素分布が体内臓器の元素分布を反映するとされている。今回、透析患者の赤血球元素を大気micro-PIXEを用いで分析し、透析による貧血の病態解明を行った。 「対象および方法」健常人2名と透析患者4名から、EDTA-2Na入り容器で採血し、オルテガ変法でPIXE測定用試料を作成した。概略すると、(1)全血500μlに等量の生理食塩水を加え、遠心(1,400rpm、5分間)し、上清を除去して血球成分のみとする、(2)液体窒素で-150℃に冷却したイソペンタンに、血球を滴下したマイラー膜を入れて凍結、(3)イソペンタンの入ったステンレスビーカーを液体窒素にいれ、凍結血球をのせる、(4)1.0×1.0^<-2>Torrで血球を24時間乾燥させた後、マイラー膜上に固定。 「結果」(1)透析患者と健常人の赤血球形状比較 健常人の赤血球は中心が窪んでいる形状である。透析患者の赤血球は、中心が窪んでいない血球が多数で、このような血球の変化は遺伝性球状赤血球症でも見られた。 (2)透析患者と健常人の赤血球X-線スペクトルの比較では両者間に明らかな差異を認めなかった。 「考察」今回の研究から、透析患者の赤血球の形態的変化が明らかとなったが、この原因については不明であり、これから症例を重ねて検討していきたい。
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Research Products
(8 results)