2009 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌多段階発癌の画像診断に関する臨床的・基礎的研究
Project/Area Number |
21591549
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松井 修 Kanazawa University, 医学系, 教授 (10019961)
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Keywords | 肝細胞癌 / Gd-EOB-DTPA造影MRI / 信号強度 / トランスポーター / OATP8 / MRP3 |
Research Abstract |
肝細胞癌のGd-EOB-GTPA造影MRI(EOB-MRI)肝細胞造影相での信号強度の成因に関する分子病理学的な背景を、特に肝細胞膜トランスポーターに注目し解析した。 【対象・方法】外科的切除された肝細胞癌40結節を対象とし、EOB-MRI肝細胞造影相で背景肝と比較して低信号を呈する群(n=32)と、等/高信号を呈する群(n=8)に分類し、以下の項目について比較検討した。 1.Gd-EOB-DTPAダイナミック造影MRIにおけるTime-intensity curve。 2.腫瘍および背景肝の肝細胞膜トランスポーター(4種のOATP-A, B, C, 8[organic anion transporting polypeptide、取り込み側]、3種のMRP1, 2, 3{multidrug resintant protein、排泄側})のPCRによる発現量の評価。 3.取り込み側トランスポーターOATP8の免疫染色による発現量の半定量的評価。 4.HE染色による肝細胞癌の組織像(分化度、組織型、胆汁産生の有無)の評価。 【結果】Time-intensity curveのダイナミック相の後から肝細胞造影相にかけて、低信号結節では信号が低下、高信号結節は信号が徐々に上昇していた。PCRおよび免疫染色では、7種のトランスポーターのうちOATP8およびMRP3で低信号群での発現減少、等/高信号群での発現増加が認められた。組織型の検討では、等/高信号群では88%が中分化型肝細胞癌であったが、分化度については低信号群とは有意差は認められなかった。ただし偽腺管形成、胆汁産生については等/高信号群で有意に認められた。 【結論】EOB-MRI肝細胞相での肝細胞癌の信号強度は、取り込み側トランスポーターOATP8、排泄側トランスポーターMRP3の発現量が最も良く相関しており、ヒトではOATP8およびMRP3がGd-EOB-GTPAの取り込みおよび排泄に強く関与していることが示唆された。また信号強度により肝細胞癌の組織型の推定が可能と考えられた。
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