2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌多段階発癌の画像診断に関する臨床的・基礎的研究
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21591549
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松井 修 金沢大学, 医学系, 教授 (10019961)
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Keywords | 肝細胞癌 / 肝癌多段階発癌 / Gd-EOB-DTPA / dysplastic nodule / MRI |
Research Abstract |
肝細胞癌(hepatocellular carcinoma:HCC)では肝細胞膜トランスポーターOrganic anion transporting polypeptide8(OATP8)によって、Gd-EOB-DTPAが細胞内に取り込まれることを明らかにした。今回はHCCの多段階発癌の過程でのOATP8の発現変化について評価し、Gd-EOB-DTPA造影MRI(EOB-MRI)肝細胞造影相での増強効果との関連を検討した。Dysplastic nodule(DN)およびHCC患者137症例172結節[low grade DN(n=3)、high grade DN(n=18)、early HCC(n=6)、高分化型HCC(n=32)、中分化型HCC(n=91)、低分化型HCC(n=22)]を対象とした。これらの切除標本に対しOATP8の免疫染色を行い、その発現を背景肝と比較して半定量的に評価し比較した。またEOB-MRIが施行されたHCC48症例56結節[高分化型HCC(n=9)、中分化型HCC(n=36)、低分化型HCC(n=10)]についてEOB-MRI肝細胞造影相(造影20分後)での増強率[(1/造影前T1値-1/造影後T1値)/(1/造影前T1値)]を算出し、各分化度間で比較した。その結果、OATP8の免疫染色ではlow grade DNではその発現は保たれていたが、腫瘍の分化度が低下するにつれて減少し、低分化型HCCではほとんど発現が認められなかった(P<0.0001,R=0.14)。免疫染色におけるOATP8発現とEOB-MRI肝細胞造影相での増強率との間には、正の相関が認あられた(P<0.0001,R=0.81)。以上の結果から、Gd-EOB-DTPA造影MRIの肝細胞相での信号強度は悪性度の上昇にともなって減少すると考えられ、結果として早期肝細胞癌の検出と質的診断に有用と考えられた。
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