2011 Fiscal Year Annual Research Report
揺動MRイメージングによる脳局所のバイオメカニクス解析と臨床利用
Project/Area Number |
21591550
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮地 利明 金沢大学, 保健学系, 教授 (80324086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間瀬 光人 名古屋市立大学, 医学研究科, 准教授 (60238920)
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Keywords | 医療・福祉 / 脳・神経 / 脳神経疾患 / 磁気共鳴画像(MRI) / バイオメカニクス |
Research Abstract |
本研究は揺動MRイメージング法によって脳局所におけるバイオメカニクスの情報を画像化し,新たな診断情報として利用することを目的としているが,今年度は特発性正常圧水頭症(iNPH)の標準的検査法であるタップテスト前後における水分子揺動量の変化を中心に検討した.さらに,より厳密に脳局所における揺動量を求めるために,arterial spin labeling法で得られる局所脳血流量(rCBF)を水分子揺動の入力として使用することを試みた.先ず,arterial spin labeling法には3次元pseudo-continuous arterial spin labeling (pCASL)法を使用してrCBF画像を得た.次に,心電同期diffusion MRIによって得た水分子揺動画像(出力)をrCBF画像で正規化することにより,血流動態に依存しない脳局所の揺動量を求めた. iNPH症例のタップテスト前後における検討では,タップテスト陽性例において前頭葉白質領域の水分子揺動量がタップテスト後に有意に低下した.iNPH症例は頭蓋内コンプライアンスが低下することが知られているが,タップテストによって髄液を排除したために頭蓋内コンプライアンスが一時的に上昇した.そのため,脳血流の頭蓋内容積負荷によって脳実質の水分子を揺り動かす力,すなわち揺動力がよりダンピングされるようになり,水分子の揺動量が低下したものと考えられる.次に水分子揺動量とrCBFの検討では,rCBFに比例して水分子揺動量が有意に増加した.この結果から,水分子揺動量は血流に依存し,rCBFによって正規化することにより血流の影響を除去可能なことが判明した.
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