Research Abstract |
研究の第1段階として,含有脂肪率を変化させられる模擬腹部ファントムによる基礎開発を行った.直径20cm,高さ30cmの円筒を内部に挿入した楕円錘(最大長径40cm,最大短径30cm,楕円率4:3)からなる体模擬ファントムを作成し円筒を水,楕円錘部分をサラダオイルで満たした.投影データは被検体を構成する物質の線減弱係数とその厚さの積の線形和となっているため,2種類の管電圧(80kVp,140kVp)でスカウト像を撮像すれば,それぞれの物質の厚さが算出可能である\投影データはそれぞれのスカウト画像のピクセル値とし,楕円錘の長軸方向に沿ったプロファイルカーブから得た.ピクセル値とファントムサイズから線減弱係数に相当する定数(μ)を求め,計算から得られたファントム厚と実測のファントム厚との関係について評価した,結果,水および油の線減弱係数は,80kVで3.05,1.97,140kVで2.68,1.76であった.連立方程式を解くことによって得られた算出オイル厚と実測厚の単回帰直線はy=1.0538x-9.1054 R2=0.8694(P<0.001)であり,強い相関を示した.また,算出した水厚は200.7mm±8.3とファントム圧(20cm)と誤差の小さい値を示し,2種類の管電圧によるスカウト画像から構成物質それぞれの厚さを算出することが確認できた. 研究の第二段階として,実際の臨床で撮像されているCT検査のローデータを用いた解析を行っている.患者情報(年齢,性別,身長,体重,体外式計測による体脂肪率)とともにCT装置と同様の記憶媒体に連結不能匿名化した患者データとして保管し,これらの情報にファントムでの基礎研究により得られたアルゴリズムを適用し,その精度を確認していく予定である.
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