2011 Fiscal Year Annual Research Report
320列面検出器型CTを用いた超低侵襲心臓画像診断法の開発
Project/Area Number |
21591576
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
吉岡 邦浩 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (70210648)
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Keywords | 放射線 / 循環器・高血圧 / 臨床 / CT |
Research Abstract |
1.マルチスライスCTが64列まで多列化したことで心臓・冠動脈を非侵襲的に診断することが可能となった。とりわけ冠動脈CTはカテーテルを用いることなく低侵襲的に冠動脈を評価できる点で画期的であり、虚血性心疾患を中心に急速に普及した。その一方で、心臓・冠動脈CTは放射線被ばくが非常に多いという問題点が指摘されており、それは乳癌や肺癌の発生リスクが警告されるほどである。本研究の目的は、最新型の320列面検出器型CTを用いて、より安全で侵襲の少ない新しい撮影法を開発することである。 2.最終年度となる本年度は今までの研究成果をもとに、診断精度を担保しつつさらに被ばくの低減が可能な撮影法を研究開発した。さらにその技術を応用し、従来の冠動脈CTでは適応外とされていた高度石灰化を有する症例に対して学内倫理委員会の承認を得て、今年度新たに開発したサブトラクション冠動脈CT法を試みた。 3.昨年度までの研究で「前向き心電図同期法による1心拍撮影」を用いることで実効線量が5mSv程度に低減できることが明らかになった。今年度はこれに「逐次近似再構成法」を加えることでさらに被ばくの低減を図った。これにより、実効線量で1.5-3.0mSv程度に被ばくを抑制することが可能であることが判明した 4.サブトラクション冠動脈CTでは、造影CTから単純CTを引き算するという方法を採るため、撮影が2回となり被ばくも2倍になるという欠点がある。しかし、今回開発した被ばく低減撮影法を用いることで、実効線量で10mSv未満での撮影が可能であった。従来のCTでは評価が困難とされる石灰化スコアが600以上の症例に対して臨床応用したところ、良好な結果が得られたので、その初期成果を論文で発表した(次頁研究発表参照)。これが一般的となれば、糖尿病や人工透析症例への冠動脈CTの適応の拡大も期待できる。
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Research Products
(5 results)