Research Abstract |
今年度は,前立腺癌に対して施行された高線量率組織内照射(HDR-BT)後にPSA再発と診断された症例で,局所再発が疑われた16症例について再発腫瘍に関する詳細な検討を行った.1.5T MRI装置および多チャンネルコイルを使用し,T2強調画像,造影ダイナミック,拡散強調画像の撮像を生検前に施行した.経直腸超音波ガイド下の生検部位(外腺8か所,内腺4か所)を8か所に再区分し,各部位におけるそれぞれの撮像法による腫瘍検出能、部位間での再発頻度の違いを検討した.その結果、1)再発腫瘍の検出におけるMRIの感度,特異度,正診率は,T2強調画像では27%,99%,87%,造影ダイナミックでは50%,98%,90%,拡散強調画像では68%,95%,91%であり、T2強調画像における感度は拡散強調画像に比して有意に劣っていた.これらの撮像法を組み合わせて評価することにより感度は77%まで上昇し,一方,特異度は92%とわずかに低下した.2)生検結果とMRI判定結果が一致した17/22病変の内訳は,外線の中のbaseが6/7病変(86%),midglandが5/7病変(71%),apexが3/3病変(100%),内腺が3/5病変(60%)であり、外腺(14/17,82%)に比して内腺における一致率が低かった.これらの結果は,拡散強調画像を主体としたcombined MRIがHDR-BT後の局所再発症例に対してsensitiveな方法であることを示した.また,再発腫瘍の検出能は原発腫瘍を伴った症例と同様に外腺よりも内腺が実質的に低いことも判明した.さらに腫瘍部位がHDR-BTで使用されるアプリケータ針を挿入する会陰部から離れたbase,midglandや内腺に多いことから,これらの腫瘍は再発ではなく放射線照射範囲外の残存腫瘍である可能性が示唆された.
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