2009 Fiscal Year Annual Research Report
放射線増感剤ギメラシルを利用した、放射線増感のメカニズムの解明
Project/Area Number |
21591605
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有賀 久哲 Tohoku University, 病院, 講師 (30333818)
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Keywords | 放射線、X線 / 癌 |
Research Abstract |
本研究で用いているギメラシル(5-chloro2,4-dihydroxypyridine ; CDHP)は経口フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬として既に臨床応用されているTS-1(S-1)の含有成分のひとつであり、5-FUが肝臓内で分解されるのを阻害する作用を持つ。我々の研究でこの薬剤はがん細胞内部で放射線感受性を上昇させている働きがあることがわかった。この性質を用い、放射線感受性のメカニズムを明らかにする目的で本研究を行っている。21年度ではギメラシルが腫瘍内低酸素領域部分でも放射線感受性を上げる働きがあるか否かを調べた。これによりもし感受性が上がれば、低酸素応答とギメラシル、放射線増感との関係が明らかとなる。実際の実験では、10cmシャーレにDLD-1細胞株撒き、ギメラシルを投与した後、低酸素チャンバーを用いて細胞環境を酸素濃度0.1%以下の低酸素状態にした。この状態で24時間低酸素状態にしたのち、シャーレを取り出し、0~6Gyの放射線を照射して細胞の生存曲線を作った。その結果、ギメラシルは低酸素状態のDLD-1細胞には放射線増感作用を示さない事がわかった。ただ、今回はDLD-1株のみで行っているが、この株はギメラシルの増感作用が比較的弱い細胞株である。今までの研究では、ギメラシルの放射線増感作用はDLD-1/FU(5-FU耐性株)で大きくなっている事がわかっているので、もしかしたらDLD-1/FU株を低酸素状態に置いた場合、ギメラシルの放射線増感効果が見られる可能性もある。低酸素状態にしたDLD-1とDLD-1/FUで増感効果が違ってくれば、そこから増感のメカニズムについてなにか糸口が見つかる可能性がある。
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