2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591618
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
鍵谷 豪 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (30524243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 良平 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (60334736)
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Keywords | 低酸素細胞領域 / HIF-1α / ニトロオキシド化合物 / テンポール / 遺伝子発現 / 遺伝子治療 / 殺細胞効果 |
Research Abstract |
固形腫瘍には細胞増殖と血管新生の不均衡に起因する低酸素細胞領域が存在する。この領域は,放射線や抗がん剤に対し抵抗性であるため,治療後に残存する可能性が高く,再発の原因として問題視されている。我々は,ニトロオキシド化合物であるテンポールに低酸素環境下で低酸素誘導因子,HIF-1αの発現を強力に増加させる作用を見いだし,この作用機序を応用した,テンポールで低酸素細胞領域特異的に自殺遺伝子の発現を増強する遺伝子治療用ベクター開発を行っている。その結果,プロモーター領域内に4つの低酸素応答因子配列(HRE)を挿入し,HRE間の塩基数を最適化することにより,またプロモーター下流に酸素依存的分解ドメイン(ODD)を付加することにより,低酸素環境下テンポール添加により,ルシフェラーゼ(Luc)遺伝子の発現を200倍以上に誘導するベクター構築に成功した。今年度,我々はLuc遺伝子を,FcyFur融合遺伝子に組換えた遺伝子治療用ベクターを構築し,その殺細胞効果を検証することを目的とした。FcyFnr融合タンパクはシトシンデアミナーゼ活性を持ち,プロドラッグである5-FCを抗がん剤である5-FUへ代謝し殺細胞効果を示すことが知られている。FcyFur融合遺伝子を搭載した治療用ベクターは,5-FCとテンポール,また低酸素環境を擬似的に引き起こすCoCl_2を添加した試料のみにおいて高い殺細胞効果を示した。細胞形態に関しては,G2期で細胞周期が停止した細胞像が多く観察された。これらの結果は,低酸素環境下でテンポールにより殺細胞遺伝子の発現を誘導し,in vitroレベルで殺細胞効果の増強をはじめて示したものである。
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Research Products
(2 results)