2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体内反応で発生する代謝活性ラジカルを利用した低酸素細胞増感剤の開発と臨床応用
Project/Area Number |
21591619
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
茂松 直之 Keio University, 医学部, 教授 (30178868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 哲也 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60234077)
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Keywords | ラジカル / 増感剤 |
Research Abstract |
癌放射線治療の成績改善を得るには、腫瘍組織に含まれる、放射線抵抗性細胞とくに低酸素領域の腫瘍の制御が不可欠である。修復遺伝子抑制による増感効果を高める研究や増感剤の開発による治療効果改善が求められている。本研究は、生体内で葉酸代謝物として生成される生体内代謝産物である6-FP(6-ホルミルプテリン)が有する活性酸素効果が、放射線を増感することを期待して計画した。これまでなされてきた多くの増感剤の研究では抗腫瘍効果のみが検討されていたが、正常細胞も放射線増感効果も比較検討する必要があり、本研究では、正常細胞の増感効果も検討を加えることにより毒性も評価することで臨床応用を目指して計画した。本年度は、正常細胞としてヒト線維芽細胞3種類、肺癌細胞、食道癌細胞を用いて、副作用発現、増感効果をコロニー法にて予測する実験を行った。増殖している臓器における感受性は、増殖期細胞集団、また、静止期である正常組織、腫瘍組織を想定して非対数増殖期の細胞を細胞接触状態および低栄養状態で作成し、6-FPの増感効果を検討した。照射2時間まえに作用させ照射後に除いた場合と照射後も数時間作用させた場合で増感効果を求めた。現在のところ、6-FPは、照射時に存在することで、増感効果が見られる傾向を示すこと、照射後に作用させても大きな影響は与えない可能性がある結果が得られた。また、非対数増殖期では増感効果がやや低下する傾向があったが、次年度に再度検討する必要がある。今後は染色体損傷、γH2AXでDNA損傷程度の解析を行う。
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