2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体内反応で発生する代謝活性ラジカルを利用した低酸素細胞増感剤の開発と臨床応用
Project/Area Number |
21591619
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
茂松 直之 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30178868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 哲也 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60234077)
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Keywords | ラジカル / 増感剤 |
Research Abstract |
本研究は、生体内で葉酸代謝物として生成される生体内代謝産物である6-FP(6-ホルミルプテリン)が有する活性酸素効果が、放射線を増感することを期待して計画した。これまでなされてきた多くの増感剤の研究では抗腫瘍効果のみが検討されていたが、正常細胞も放射線増感効果も比較検討する必要がある。 腫瘍細胞と正常細胞の放射線感受性および6-FPの増感効果をコロニー法で検討した結果、正常細胞と比較すると腫瘍細胞の生存率は低い。更に、6-FPがどの段階で放射照射された状態の細胞に働くかを検討するため、照射後に細胞から6-FPを除き、増殖させ細胞の増殖速度を検討したところ、6-FPの存在下と比較すると、生存率は上がることが明らかになった。そこで、放射線照射による染色体異常の頻度を照射単独と6-FP併用郡で比較すると、併用することで増感効果が上がった。次に細胞周期動態をフローサイトメトリーにて解析したところ、特にS/M2期にある腫瘍細胞に対して6-FPの増感効果が強くみられた。が、G0/G1期の細胞に対しても正常細胞と比較すると、増感効果は検出された。アポトーシス誘導率を照射単独と併用で比較すると、p53の活性化がより腫瘍細胞でより強くみられた。 本年度は、放射線単独および6-FPとの併用により増感効果を評価した癌細胞郡を、ヌードマウス大腿皮下に移植し、腫瘍を形成させ、腫瘍の放射線増感効果を確認する。また、照射直後、24時間後に腫瘍を摘出し、in vitroで解析を行う。方法として、上記と同様、腫瘍細胞と正常細胞の感受性をコロニー法で比較検討、サイトカラシンBを用いた微小核小体の形成率、染色体異常の頻度を照射単独と6-FP併用郡で比較検討、更に細胞周期動態をフローサイトメトリー法で解析、アポトーシス誘導率を照射単独と併用で比較検討する。
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