2009 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞接着・細胞運動を制御するTRPV2チャネルのトラフィッキング機構
Project/Area Number |
21591627
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
長澤 雅裕 Gunma University, 生体調節研究所, 助教 (50343083)
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Keywords | TRP / がん / カルシウム |
Research Abstract |
さまさまな癌細胞株におけるTRPV2チャネルの発現をRT-PCR法で検討したところ、ヒトの癌肉腫細胞株、メラノーマ細胞株、白血病細胞株、肝細胞癌細胞株にTRPV2が発現していることがわかった。そこで ヒトの癌肉腫細胞株におけるTRPV2の機能を検討した。この細胞ではEGF、HGF、などの増殖因子刺激によりTRPV2がトランスロケーションして、持続的なカルシウム上昇を生じること。さらに、TRPV2をノックダウンするとEGF、HGF刺激によるカルシウム上昇が抑制されることがわかった。また、このヒトの癌肉腫細胞では、細胞運動において フィロポディア・ラメリポディアが形成され、その際にPI-3キナーゼが重要な働きをしていることが報告されている。そこで、Akt(PKB)のPHドメンやGrp-1のPHドメンにGFPを付加した PI-3キナーゼの活性化するためのプローブを作製した。それをTRPV2-Strawberryと共発現させて、細胞膜におけるTRPV2の局在とPI-3キナーゼが活性化部位を可視化して検討した。それにより、PI3キナーゼの活性化とTRPV2との局在が、細胞の運動部で共局在することがわかった。さらに、この部位における細胞接着分子との検討では、TRPV2とβインテグリンがよく共局在することがわかった。インテグリンは、細胞表面で発現して、細胞接着機能を担うばかりでなく、細胞運動における膜のリサイクリングにおいても重要な機能を有していることが知られている。TRPV2も同様に効率よく細胞運動における細胞膜のリサイクリング機構によりその局在が調節されているものと考えられる。そのほかの細胞接着分子等との関連性については検討中である。wound healingアッセイにおける細胞運動における検討では、TRPV2の発現をRNAiで発現を抑制したり、ルテニューム・レッドでTRPV2の機能を阻害すると癌細胞の細胞運動が抑制されることがわかった。さらに、癌細胞の浸潤に関連する特殊な細胞膜の構造であるインベドポディアにTRPV2が集積して局在することをあきらかにした。この部位においてCa^<2+>がどのような刺激に対してタイナミックに変化するのかを現在検討している。
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